【ネタバレ解説】『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』ここが過去作とリンク!

トム・クルーズ主演映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は、シリーズ集大成として、過去作のキャラクターやアイテムが再登場する楽しいサプライズが仕掛けられている。いずれも作品中で説明されるので前知識は不要だが、シリーズ初心者に向けて、「あの人物、あのアイテム」をサクっと振り返る。(文・平沢薫)
※ご注意:本記事はネタバレを含みます。『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』および過去作をまだ観ていない方はご注意ください。
まさかの正体:ジャスパー・ブリッグス
本作のビッグサプライズは、前作からイーサン(トム)を執拗に追跡しているCIA捜査官ジャスパー・ブリッグス(シェー・ウィガム)が、『ミッション:インポッシブル』1作目(1996)のIMF(Impossible Missions Force = 不可能作戦部隊)のリーダー、ジム・フェルプス(ジョン・ヴォイト)の息子だと判明したこと。彼がイーサンに執着していたのは、父とイーサンの過去の出来事のせいもあったことが分かった。
IMFのリーダーだったジム・フェルプスは実は裏切り者で、イーサンに濡れ衣を着せた張本人。やがてイーサンに真相を暴かれ、イーサンが列車に仕掛けた爆弾により死に至った。
このフェルプスとブリッグスの関係は、役名にヒントが隠されていたのかもしれない。映画の原作となったテレビシリーズ「スパイ大作戦」(1966~1973)のリーダーの名前は、シーズン2~8のリーダー、ジム・フェルプスが有名で、映画第1作の役名もこれと同じ。そして、ブリッグスの名前にも元ネタがある。ドラマ版シーズン1の初代リーダーの名前が、ダン・ブリッグスなのだ。本作のブリッグスの名前はジャスパーだが、名字「ブリッグス」はこれを意識した命名かもしれない。
1作目から再登場のCIA職員:ウィリアム・ダンロー
イーサンの仲間たちが、北極で思わぬ再会をするのが、CIA職員ウィリアム・ダンロー(ロルフ・サクソン)。彼が登場したのは、1996年公開の1作目で、イーサンがCIA本部に潜入し、天井から宙吊りになってコンピュータからデータを盗む、シリーズ屈指の名シーン。このとき、そのコンピュータがある金庫室に唯一入室できる人物として、データを管理保守していたのがダンローだった。彼が実は優れた技術者だったことや、その後の運命は、本作で判明する。
また、本作でダンローが取り出すナイフは、先述のイーサンが宙吊りになる名場面で、イーサンの仲間クリーガー(ジャン・レノ)がダンローのデスクに落としたナイフだろう。彼が保管していたとはびっくりだが、このナイフが本作で大活躍。パリス(ポム・クレメンティエフ)がこのナイフを使って、ベンジー(サイモン・ペッグ)を救う。
ダンローを演じるロルフ・サクソンは、米国の俳優。第1作以降も『007/トゥモロー・ネバー・ダイ』(1997)、ドラマ「S.A.S. 英国特殊部隊II」(2003)、『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015)などに出演している。
CIA長官から大統領に:エリカ・スローン
本作の大統領エリカ・スローン(アンジェラ・バセット)は、第6作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)にも登場している。この時は大統領ではなく、CIA長官だった。最初はイーサンを信用せず、任務にCIAエージェント、オーガスト・ウォーカー(ヘンリー・カヴィル)を同行させた人物だ。
意外な再登場アイテム:ラビットフット
今回、前作と本作の敵(=エンティティ)の原点となるデータが、ラビットフットに保存されていたことが判明する。ラビットフットとは、3作目『M:i:III』 (2006)で、イーサンと武器商人デイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)が、入手を競った重要アイテム。これまで、アイテムの詳細は不明で、ファンの間でも何だったのかと話題になっていたが、本作でついにその内容が明らかになった。
歴代ヒロインたち
イーサンの宿敵ガブリエル(イーサイ・モラレス)が、イーサンの過去について語る時、イーサンの過去の恋人たちのごく短い映像が続々画面に流れる。
まず、歴代ヒロインの中で唯一長めに登場するのは、ジュリア(ミシェル・モナハン)。シリーズ3作品に登場した彼女は、『M:i:III』では看護婦でイーサンの婚約者で彼と結婚、第4弾『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011)では別々に生活し、イーサンが遠くから見守っている様子が描かれ、第6作『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)には別の男性と結婚している元妻として登場した。
そのほか、1作目に登場したMIFエージェントのクレア(エマニュエル・ベアール)、2作目『M:I-2』(2000)から盗みのプロ・ナイア(タンディ・ニュートン)、4作目『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』のMIFエージェント・ジェーン(ポーラ・パットン)、5作目『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』(2015)から前作『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』まで活躍したMI6エージェント・イルサ(レベッカファーガソン)が回想シーンで登場している。
チラッと流れるドラマ「スパイ大作戦」の楽曲
映画シリーズのテーマ曲は、1作目から本作まで、ドラマ「スパイ大作戦」のラロ・シフリン作曲の「The Mission: Impossible Theme」をアレンジした曲が使われているのは、ご存知の通り。それに加えて、作中にラロ・シフリン作曲のドラマ「スパイ大作戦」の劇伴「The Plot」もチラッと流れるのがお約束。実はこの曲は、映画シリーズでも2作目以外の全作に使われていて、ドラマ版へのオマージュになっている。
このように『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』はいわば28年続くシリーズの集大成。本作を基点に、シリーズの他の作品を観ると、また新たな発見がありそうだ。
映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』は全国公開中
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