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【完全ネタバレ】『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』徹底解説 原作オマージュ&『ドゥームズデイ』直結シーン

 マーベル・スタジオ最新作『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』には、マーベル・コミック関連のイースターエッグがたっぷり。次回作『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』にも直結している。ここでは、本作がもっと楽しくなる小ネタの数々を紹介する。(文・平沢薫)

※ご注意:本記事はネタバレを含みます。『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』をまだ観ていない方はご注意ください。

ジャック・カービーへの敬愛を込めて

 本編後、ポストクレジットシーンの前にスクリーンに登場するのが「私の創ったキャラクターには、私が反映されている。どんなキャラクターにも、私自身が残っている。(If you look at my characters, you will find me. No matter what kind of character you create or assume, a little of yourself must remain there)」というジャック・カービーの言葉。これを筆頭に、本作には彼へのオマージュがたっぷり詰め込まれている。

 ジャック・カービーとは、スタン・リーと一緒にマーベル・コミックの名作の数々を生み出した人物。彼は1994年に76歳で死去し、2008年の『アイアンマン』から始まるマーベルの世界的快進撃を目にすることはなかったが、本作はそんなカービーに光を当てている。

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コミックス「Fantastic Four #60」表紙 - Marvel Comics Group / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ジャック・カービーは1950年代からマーベルでスタン・リーと一緒にコミックを創造していたが、一時はマーベルを離れる。その彼が、再びマーベルに戻り、スタンと組んで生み出したのが「ファンタスティック・フォー」(1961)なのだ。このコミックが大ヒットして、その後、このコンビは、ハルク、ソー、アイアンマンなどを次々に生み出していく。カービーは、スタンと並ぶマーベルの生みの親なのだ。本作は、これまでのような“スタン・リーのマーベル”ではなく、別のアースを舞台に、スタン・リーとジャック・カービーのマーベルを描こうとしているようにも見える。

 そもそも、本作の冒頭で提示されるアース番号「Earth-828」は、カービーの誕生日(1917年8月28日)から取られたもの。もちろん、スタンへのオマージュもあり、ファンタスティック4の宇宙ロケットの名前「エクセルシオール」は、スタンが編集後記の最後に記す名台詞「Excelsior!!」から取られている。

 さらに、この2人は画面にも登場。シルバーサーファーが出現した時の街の光景の中に、壁にカービーのコミック風の原稿が壁に貼り巡らされたオフィスがあり、若者2人が働いているのが見える。彼らはきっと若き日のカービーとスタンだろう。

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1960年代コミックのキャラクターが続々

 本作に登場したり、言及されたりするキャラクターにも、ジャック・カービーとスタン・リーが創造して1960年代に初登場したクラシック・キャラクターがたっぷり。テレビ番組がファンタスティック4の歴史を紹介するときに登場する大海獣ギガントは、原作コミック第1巻「Fantastic Four #1」(1961)に登場するクリーチャーで、映画のシーンはこのコミックの表紙にそっくりだ。

 歴史紹介中に映る雑誌の表紙に名前が載っているマッド・シンカーは、1963年のコミック15号に初登場。格闘シーンが描かれる巨大な猿スーパーエイプは同じ1963年のコミック13号で初登場している。彼を生み出したマッドサイエンティストのレッドゴーストジョン・マルコヴィッチ(『RED /レッド』シリーズ)が演じて本作に登場する予定だったが、そのシーンはカットされてしまった。そのレッドゴーストは、本作のポストレジットシーンで流れる1960年代風アニメに登場している。

 また、インビジブル・ウーマン/スー・ストーム(ヴァネッサ・カービー)に協力する、地底世界の支配者モールマンポール・ウォルター・ハウザー)も「ファンタスティック・フォー」の原作コミック第1巻が初登場だ。

 名前のみ登場するキャラクターも同様。ミスター・ファンタスティック/リード・リチャーズ(ペドロ・パスカル)の発言の中で言及するヴィランには、特殊な素材で作った人形を使って人を操る1962年初登場のパペットマスター、同年初登場の発明家で奇術師のウィザード、1964年初登場の錬金術師ディアブロがいる。このディアブロも、ポスクレのアニメーションに登場。このアニメには、もともとはディアブロの創造物だったドラゴンマン(1964年コミック初登場)も姿を見せる。

 また、彼らと同時代に存在した、実在の1960年代アイテムも続々。ファンタスティック4がテレビ番組に登場する時のセットは、1964年にビートルズが「エド・サリバン・ショー」に出演した時のセットにそっくり。NYの街の広告で、ヒューマントーチ/ジョニー・ストーム(ジョセフ・クイン)が登場している日焼け止めのコパトーンの広告は、実際の広告のパロディー。タイムズスクエアにはマーベルコミックの前身、タイムリー・コミックスの看板もある。他にも、炭酸飲料セブンアップなど、当時の広告が多数登場している。

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アニメシリーズ、ロジャー・コーマン版映画へのオマージュ

1994年版『ファンタスティック・フォー』の4人 - New Horizons / Photofest / ゲッティ イメージズ

 本作には、アニメシリーズや旧作映画へのオマージュもある。ファンタスティック4の拠点にいる高性能ロボット、ハービー/H.E.R.B.I.E.は、コミックではなく1978年のアニメシリーズ「ファンタスティック・フォー(原題)/The Fantastic Four」で初登場したキャラクター。本作のデザインもアニメ版にそっくりだ。

 また、低予算映画の帝王ロジャー・コーマン製作、オリー・サッソン監督の『ファンタスティック・フォー(原題)/The Fantastic Four』(1994)でファンタスティック4を演じた俳優4人アレックス・ハイド=ホワイトレベッカ・スターブジェイ・アンダーウッドマイケル・ベイリー・スミスがカメオ出演。テレビ番組で4人の歴史を紹介するシーンで、チームを称賛する市民として、円形の画面の中に4人一緒に登場。また、ハイド=ホワイトとスターブは、チームを紹介するTVジャーナリストのナレーションも担当。アンダーウッドとスミスは、発電所でジョニー・ストームに助けられる作業員役でもカメオ出演している。

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『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に直結するミッドクレジットシーン

ドクター・ドゥームを演じるロバート・ダウニー・Jr - (C) 2025 MARVEL.

 そして、最も注目なのは、今後のMCUの最重要キャラクター、ドクター・ドゥーム(ロバート・ダウニー・Jrの登場だろう。ミッドクレジットシーンで、スー・ストームがちょっと目を離したすきに、彼女の幼い息子フランクリンの前にいた人物は、フードの色と手に持ったマスクの形からドクター・ドゥームだと分かる。となると、ドクター・ドゥームが、フランクリンの超能力を研究するため彼を誘拐し、ファンタスティック4は、フランクリンを救出するために別のアースに向かうのだろうか? とはいえコミックでは、ドゥームとリード・リチャーズは、学生時代の出来事によって宿敵になっている。映画でも2人の過去に何かがあるのかもしれない。

 ドクター・ドゥームの登場は、本編中でもチラッと前振りされていた。スーが各国の代表が集まるフューチャー・ファンデーションの首脳会談でスピーチした時に、「ラトヴェリア」と書かれた席が空席になっていた。ラトヴェリアは、コミックでドクター・ドゥームが統治する国の名前だ。

 『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』は2026年12月18日全米公開。ファンタスティック4、アベンジャーズ、はみ出し者集団のサンダーボルツ*(=ニュー・アベンジャーズ)の関係はどうなるのか。ファンの間では、新たなアベンジャーズのリーダーは、リード・リチャーズなのではないかとの噂も出ている。ここからまた、マーベル・シネマティック・ユニバース全体に関わる壮大なドラマが展開しそうで、今から期待せずにはいられない。

映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』は全国公開中

(C) 2025 20th Century Studios / (C) and TM 2025 MARVEL.

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