全員やる気ゼロ…244万人が笑った“ボスの座押しつけ合い”映画って?
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不慮の死を迎えたギャング組織のボスの後継者争いを描き、韓国で244万人動員(2025年年間興収第5位)の大ヒットを記録した映画『BOSS/ボス』。「韓国ノワール作品」ではおなじみといえる設定を逆手に取り、最終候補となった3人の男たちがボスの座押しつけ合いを始めるという、大爆笑必至である本作の魅力とは? ここでは観る者の予想を裏切るストーリー展開、個性的すぎるキャラクター、そして熱すぎるジャッキー&香港映画へのオマージュなどについて徹底分析します!(くれい響)
韓国ノワール映画の逆をいく…やる気ゼロの後継者争い
念願だったギャング組織のボスの座に就いたものの、時代の流れには逆らえず、衰退する組織の金策に追われていた男・テスが自殺を遂げた。そこで、財政難に直面する組織を率いることに尻込みする幹部たちは、テスの有能な弟分として、長年彼を支えてきた3人を後継者候補に挙げ、選挙で次期ボスを決めることになる。
とはいえ、常に冷静で腕っぷしが強かったスンテは、料理の才能を生かして中華料理店の店主になっており、スマートな若頭イケメンだったガンピョは、受刑中に目覚めたタンゴダンサーを目指していた。つまり、ボスの座を継承することに興味ゼロな彼らにとっては、夢を叶えるための足枷に。そこに、単細胞で喧嘩っ早い性格のまま、年齢を重ねた昔気質の武闘派パノや幹部会の面々、謎の潜入捜査官といったクセが凄い面々の思惑が交錯していく……。
これまで「韓国ノワール作品」で描かれてきたギャング組織のボスの座をめぐる後継者争いといえば、『新しき世界』に代表されるように、血を血で洗う抗争劇が展開するのがお約束。だが、本作ではそれを逆手に取ったパロディーとして描かれ、やる気ゼロの後継者争いが展開。それが、わざと相手に勝たせるための選挙工作や自作自演の失踪事件にまで発展し、ブラックな笑いが生まれていくのである。『龍三と七人の子分たち』や『任侠学園』のような“ヤクザ×コメディー”のギャップが好きな人なら、韓国映画になじみがなくても間違いなくハマるはずだ。
潜入警官も全部バレバレ!“残念”すぎるキャラクターたち
もはや、誰トク? ともいえる状況になった、ボスの後継者争い。その本命となってしまったスンテは、恐妻に背中を押されつつ、自身の中華料理店の全国展開を画策中。そのため、選挙当日に自分が参加できないよう、あえて刑務所に収監されるための計画を練る。その一方で、対抗馬となったガンピョはその昔、ボスを目指し、スンテがやるはずだった汚れ仕事を横取りし、服役までしていた野心はどこへやら。もはや別人と化してしまったギャップに、周囲のドン引きが止まらない。
そして、大穴ともいえるパノは、親分からも部下からも人望ゼロというポンコツっぷりを発揮し、やる気が空回りしまくる。そんなパノ役を演じるのは『犯罪都市』シリーズの愛されキャラ、チャン・イス役でおなじみのパク・ジファン。スピンオフ作品『TOKYO BURST-犯罪都市-』でもしっかり爪痕を残していた彼の身体を張った笑いにも注目だ。
そんな三者三様の主人公たちに加え、十年間、スンテの中華料理店の店員として潜入していながら、スンテに正体がバレバレな捜査官テギュや、強面で貫禄だけは十分なのに、どこか抜けている幹部メンバーなど、“残念”すぎるキャラクターが大渋滞。そんな彼らを、『国家が破産する日』のチョ・ウジン(スンテ役)、「賢い医師生活」のチョン・ギョンホ(ガンピョ役)、「秘密の森」のイ・ギュヒョン(テギュ役)、『工作 黒金星と呼ばれた男』のイ・ソンミン(テス役)ら、韓国映画界を代表する実力派キャストたちが真剣に演じているだけで、思わず笑ってしまう。
ジャッキー愛&香港映画へのオマージュ炸裂!
そもそもラ・ヒチャン監督は、1980~90年代の香港映画を強く意識して本作を撮り上げたという。ガンピョが繰り出す華麗でダンサブルな立ち回りなど、ワイヤーアクションを駆使した肉弾戦も大きな見どころとなっている本作。ジャージャー麺や出前の岡持ちといった商売道具やカーテンや書籍など、身近なモノを活用したスンテの闘い方は、ジャッキー・チェンのユーモラスなアクションを彷彿とさせる。
また、『イップ・マン』でもおなじみの詠春拳や蟷螂(カマキリ)拳などの拳法アクションが中心になっているパノの闘い方も、かなりコミカルにアレンジされており、こちらもどこか笑いを誘う。さらには、エンドロールにはジャッキー映画でおなじみの「NG集」が流れるなど、至るところでジャッキー映画愛に満ち溢れている。
ボスの座を選挙で決めるという設定は、黒社会の会長選挙を描いたジョニー・トー監督の『エレクション』を思わせるし、潜入捜査官といえば、香港ノワールの金字塔『インファナル・アフェア』を思い起こさずにはいられないが、実は、本作は『インファナル・アフェア』の脚本家としても知られるフェリックス・チョン監督が香港ノワールをパロディーにした『ジ・エレクション 仁義なき黒社会』を基に再構築。そのため、作り手たちによるジャッキー映画だけではなく、香港映画へのオマージュ&リスペクトが詰まっている一作に仕上がっている。
まさに笑いあり、アクションあり、オマージュありと、さまざまなエンタメ要素が詰まっている本作『BOSS/ボス』。それだけに、是非とも劇場のスクリーンで堪能しつつ、後継者争いの行く末を見届けてほしい!
ちなみに本作は日本語吹替版も制作されており、主要キャストの声は4人組グループ・モナキの全員と、彼らをプロデュースする純烈の酒井一圭が担当している。
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映画『BOSS/ボス』は10月23日(金)全国公開
監督:ラ・ヒチャン 出演:チョ・ウジン、チョン・ギョンホ、パク・ジファン、イ・ギュヒョン、イ・ソンミン 配給:日活/KDDI
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