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首つろうか…衝撃の告白も 飯舘村の酪農家に密着した震災ドキュメンタリー上映

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取材続行の決意を語った野田雅也監督と豊田直巳監督、安岡卓治
取材続行の決意を語った野田雅也監督と豊田直巳監督、安岡卓治 - 写真:中山治美

 隔年で開催される第13回山形国際ドキュメンタリー映画祭が10日から山形市中央公民館などで始まった。前回に引き続き、東日本大震災をテーマにした特集「ともにある Cinema with Us 2013」が組まれ、11日には福島・飯舘村の酪農家を追った『遺言 -原発さえなければ-』が上映されるなど、大きな話題を呼んでいる。

 監督はフォトジャーナリストの豊田直巳野田雅也で、震災直後から約2年間に渡って酪農家に密着した。撮った映像は250時間に及んだが、それを3時間45分に凝縮。編集担当の安岡卓治も「これ以上は切れなかった」と吐露したほど、ニュース報道はもちろん同様のドキュメンタリー作品でも類を見ないほど、福島第一原発事故で人生を翻弄(ほんろう)される彼らに肉薄している。

 ゆえに酪農家たちは、計画的避難で手塩に育てた牛を手放す悔しさや、「原発さえなければ」の遺言を書き残した相馬市の酪農家・菅野重清さんの自死を目の前にやり場のない怒りを、時にカメラに向かって涙ながらに訴える場面もある。中でも、酪農家のリーダー格である長谷川健一さんが酔いに任せて「首つろうかな」と弱音を吐く場面は、胸を締め付けられずにはいられないだろう。

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 会場には出演者でもある長谷川健一さん・花子さん夫妻、そして、豊田監督らと偶然出会い、自宅の雨どい付近で毎時500マイクロシーベルトの放射線量を計測したことを知らされた浪江町出身の関場健次さん・和代さん夫妻も駆けつけた。「わたしたちをずっと撮り続け、後世に残さなければならないという重大な使命感に溢れている作品だと思う」と語った長谷川さんは「原発事故はまだ途中です。先が見えない状況の中で、わたしたちが最後にどうなるのか? そこまできちっと二人には見届ける義務があると思う」と両監督に取材続行を要請。その言葉を受けた豊田監督は「せめてセシウム137の半減期と言われている約30年後まで、わたしたちも取材を続けていきたいと思います」と力強く語り、契を交わした。

 なお、同作品の劇場公開はまだ決まっていないが、映画『「A」』などのプロデューサーとしても知られる安岡は「(長尺で)劇場泣かせの作品だが、ぜひ公開したい」と語っている。(取材・文:中山治美)

山形国際ドキュメンタリー映画祭は10月17日まで開催

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