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『メビウス』は男性器のロードムービー!キム・ギドクが解説

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『ONE ON ONE(原題)』と『メビウス』について語ったキム・ギドク監督
『ONE ON ONE(原題)』と『メビウス』について語ったキム・ギドク監督

 韓国の鬼才キム・ギドク監督が11月30日、有楽町朝日ホールで開催された「第15回東京フィルメックス」特別招待作品『ONE ON ONE(原題)』上映後に登場し、観客からの質問に答えた。

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 人間のモラルを揺さぶるようなスキャンダラスな作品を数多く発表し、世界中で賛否両論を巻き起こしてきたキム監督の最新作となる本作。ある夜に起きた非道な女子高生殺害事件の関係者7人が、謎の武装集団に次々と誘拐され、拷問されていくさまを映し出す。奇想天外な設定の中に韓国社会に対するさまざまな批評を込めた物語となっており、日本公開は2015年秋を予定しているという。

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 キム監督は大勢の客で埋まった客席を見渡し「こんな午前の時間に映画を観てくださってありがとうございます」と笑顔であいさつ。本作の製作のきっかけとして、これまで個人が抱える「痛み」をテーマに映画を生み出してきたが、この映画では、国家が個人に与える痛みを描きたかったと明かす。

 その理由として「韓国の政治家が不正・腐敗によって国民をあざむく行為には、本当にがっかりさせられることが多い」と切り出したキム監督は、「でも政治家を批判している自分は卑怯ではないのか。自分の欲を満たすために彼らを放置しているんじゃないか。そういったことを問い掛けるために、この映画を作りました」とコメント。「日本も原発や自衛隊などいろいろな問題を抱えているけど、北朝鮮よりはマシだと思っているかもしれない。でも責任回避をして、自分だけが幸せならいいと無責任に思っていないでしょうか」と問い掛けた。

 日本では男性器を切り取るという衝撃的な内容が話題の前作『メビウス』の公開が12月6日に迫っている。その見どころについて問われると、「『メビウス』は今日観た映画とはガラリと違うテイストの映画で、男性器のロードムービーだ。韓流ドラマでは、得てして(赤の他人だと思ったら)実の子だったというような、家族のいざこざを描いたものが多いが、『メビウス』はその下半身版だと思ってもらいたい。韓流ドラマが顔だけを映しているとしたら、『メビウス』はカメラが男性器にまで降りてきて欲望を描いている」とユーモラスなコメントを残して、観客を笑わせていた。(取材・文:壬生智裕)

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