終盤への疾走感は監督らしいが、またも評価は分かれそう

園子温監督がワークショップに参加した俳優たちと作っただけあり、原石の輝き、恐れを知らない猛突進感がみなぎり、そこに監督の志向がストレートに結びついた印象。オーディション風景、エキストラの苦心、助監督の奮闘など、かなりカリカチュアされているとはいえ、映画製作の舞台裏もよくわかる。俳優たちの「顔」は確かに経験不足のもどかしさはあるものの、監督の心の炎が宿り、ラストに向けてどんどん強靭になっていくのがわかる。
ただ、いくつかの衝撃的な傑作とともに一人の映画作家の流れを振り返ったとき、原点回帰の、がむしゃらさ、ユーモアのセンスに最後まで乗りきれず、物語の一本筋が迷走している感もあり、評価は難しい。