四半世紀ぶりに日本映画界が再検証

2013年11月19日 くれい響 かぐや姫の物語 ★★★★★ ★★★★★

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かぐや姫の物語

『E.T.』にインスパイアされ、「かぐや姫=宇宙人」という設定からSF評論家の石上三登志も脚本に参加した市川崑監督作『竹取物語』から、早くも四半世紀。ということで、本作は改めて日本最古の物語を検証してくれる(良くも悪くも、そこに尽きる)。

 冒頭の古語表現で語られるナレーションから、あまりにゆっくりした語り口に、一瞬戸惑うものの、「まんが日本昔ばなし」のように、これぞ原作の持ち味を生かした描き方だろう。伊集院光の怪演も光る姫が出す難題に挑む大臣たちの姿も、かなり時間を割いて描かれるが、この穏やかなリズムは心地良くなり、『風立ちぬ』より11分長い尺も、さほど気にならない。

 確かに、かぐやと村の幼馴染との関係は、ハイジとペーターのようにも見えるが、天真爛漫で恋愛ベタな彼女の性格は、むしろ声を吹き替えた朝倉あきが以前演じた「とめはねっ! 鈴里高校書道部」のヒロインとも重なる。そして、幼いかぐやの呼び方について、翁と子供たちが繰り広げる絶叫バトルは、高畑監督の前作『ホーホケキョとなりの山田くん』でのチャンネル争いを思い起こされる。この狂気炸裂のシーンだけでも一見の価値アリ。

くれい響

くれい響

略歴:1971年、東京都出身。大学在学中、クイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作、「映画秘宝(洋泉社)」編集部員を経て、フリーとなる。現在は映画評論家として、映画誌・情報誌・ウェブ、劇場プログラムなどに寄稿。また、香港の地元紙「香港ポスト」では10年以上に渡り、カルチャー・コラムを連載するほか、ライターとしても多岐に渡って活動中。

近況:『イップ・マン 完結』『眉村ちあきのすべて(仮)』『プロジェクトグーテンベルク 贋札王』『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』『オーバー・エベレスト/陰謀の氷壁』『地獄少女』『アイネクライネナハトムジーク』『見えない目撃者』『プライベート・ウォー』『サマー・オブ・84』 『映画 賭ケグルイ』『オーヴァーロード』『BACK STREET GIRLS-ゴクドルズ- 』『サイバー・ミッション』などの劇場パンフにコラム・インタビューを寄稿。「究極決定版 映画秘宝オールタイム・ベスト10」のほか、「1980年代の映画には僕たちの青春がある(キネ旬ムック) 」「悲運の映画人列伝(映画秘宝COLLECTION)」「俺たちのジャッキー・チェン (HINODE MOOK)」に作品・解説などを寄稿。そのほか、「シネマトゥデイ」にて菅井友香さん、「Movie Walker」にてポン・ジュノ監督×細田守監督、「香港ポスト」にて谷垣健治監督、「CREA WEB」にて戸塚純貴さんなど、インタビュー記事が掲載中。

サイト: http://blog.goo.ne.jp/asiareview/

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