ADVERTISEMENT

作家、本当のJ.T.リロイ (2016):映画短評

作家、本当のJ.T.リロイ (2016)

2017年4月8日公開 111分

作家、本当のJ.T.リロイ
Copyright (C) 2016 A&E Television Networks and RatPac Documentary Films, LLC. All Rights Reserved.

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.5

山縣みどり

アメリカ版木嶋佳苗に乗せられたセレブの赤っ恥史

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

サブカル界の寵児となったJTリロイを作り上げたローラ・アルバートの回想を見ていてシンクロしたのが木嶋佳苗。ネット上に作り上げたセレブデイ続けるための資金欲しさで男たちを次々と殺害した佳苗が裁判で滔々と自己を正当化し、あまつさえ名器ぶりを述べたのとローラの語り口はほぼ同列。セレブの仲間入りしたがったデブスな点も同じ! しかもローラは正体を暴露された後に梯子を外したセレブへの恨み節も繰り返す。“逸材”に考えなしに飛びつくメディアの浅はかさも露呈され、ボノもアーシア・アルジェント赤っ恥をさらす。コカイン決めながら「オプラで禊を」と提案したコートニー・ラブがまともに見えたのがもう狂気の世界ってこと?

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

これはあらゆる問題に敷衍できる内容だ。

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

筆者もまんまと騙されていたクチだが、こりゃ仕方ない!と改めて思う。長らく世間を巻き込んだJ.T.リロイ騒動の全貌を「作家」ローラ・アルバートが赤裸々に語る。彼は彼女の内に生まれた人格か、精緻に構築されたキャラか? ともあれ送り手と受け手の欲望の合致が、甘美な漆黒のファンタジーを生んだのだ。

ガス・ヴァン・サントやビリー・コーガンなど、ローラ自身の持つ文脈がJ.T.リロイの“完成度”を高めたのだと思う。監督のフォイヤージーク(『悪魔とダニエル・ジョンストン』)の分析的な構成が見事。現実は既に入れ子構造なのだ。“虚実の皮膜”の実践的怪作として『イグジット・スルー~』『FAKE』と並べたい。

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT