芸術家の魂は永遠の命を持つヴァンパイアのごとし?

21世紀の現代社会にさまよう男女の吸血鬼。ジャームッシュは彼らにロマン主義的ヴァンパイア像を体現させつつ、栄枯盛衰を繰り返す浮世の儚さと暗闇で永遠に生きる者の孤独を描く。
チャーリー・フェザーズやチェット・アトキンスを愛し、バイロン卿やメアリー・シェリーの反骨精神を受け継ぐ主人公たち。監督は彼らに時代を超越した芸術家の魂を投影しているように思える。真の才能はたとえ肉体が滅びようとも、ヴァンパイアのごとく永遠に生きながらえるのだと。
ホラー映画マニアとしては、初期のジャン・ローランやハリー・クーメルの耽美系ヴァンパイア映画にも似たメランコリーの感じられる点も興味深い。