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罪と女王 (2019):映画短評

罪と女王 (2019)

2020年6月5日公開 127分

罪と女王
(C) 2019 Nordisk Film Production A / S. All rights reserved

ライター2人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

猿渡 由紀

こんな偽善的で複雑な中年女のキャラクターはもっと見たい

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

思いきり年下の、しかも義理の息子との禁じられた情事。だが、これはありがちな安っぽいメロドラマではなく、毒をたっぷり含む優れた悲劇にまとまっている。キャリアも家庭も充実で文句ない生活を送る主人公。なのに何か満たされないと感じているのは、言わば贅沢病。その結果、わざわざ自分から間違いを犯してしまうのだが、物語の本番は、それがばれそうになってしまった時。映画の前半で、児童保護の弁護士として若者を守る姿がしっかり描かれていることが、ここにきて強烈に皮肉な意味をもたらす。こんな偽善的で、かつ複雑な中年女を書けたのは、同じ女性ならではだろう。こういうキャラクターを映画でもっと見たい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

いろいろとザワつかせる

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

『クイーン・オブ・ハーツ』として「トーキョーノーザンライツフェスティバル」で上映された際、一部でザワつかせたサンダンス観客賞受賞作。不倫や禁断の愛の話に見えるかもしれないが、城(豪邸)に住む女王(女弁護士)が、欲望に溺れた末、邪魔になった奴隷(義理の息子)を追い詰め、国(家族)を守ろうとするエゴ丸出しの物語だ。シャーロット・ランプリングか、ヘレン・ミレン主演で観たような既視感もあるが、これを時代劇じゃなく、現代劇で描くことで際立つ残酷さ。もし、男女逆の設定なら、完全アウトのなか、グレーゾーンを攻めてくるからザワザワする。中盤以降のホラー演出もなかなかだが、127分は若干長い。

この短評にはネタバレを含んでいます
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