"夢見る人"の抱く夢の鮮やかさが胸を打つ

17歳の少年の初めての恋を描く成長物語であり、宿命の女と出会ってしまった男のドラマでもあるが、それ以上に"夢見る人"の物語として胸を打つ。1930年代のテキサス、どこまでも乾いた大地が広がっていく世界で、"夢見る人"が夢を抱くとき、その光景が画角の違う画面で出現する。すると、その海の青さ、夕暮れの橙色が、現実とは別の鮮やかすぎる色をしているのだ。
撮影は『ザ・ヴァンパイア~残酷な牙を持つ少女』の映像が強烈だったライル・ヴィンセント。監督マイルズ・ジョリス=ペイラフィットは、95年にも映画化された英国コミック「タンク・ガール」の映画化を企画中で、それも気になる。