助演男優賞ノミネートリスト
第98回アカデミー賞
初ノミネートの70代ベテランが火花散らす
いずれ劣らぬ個性を持ち味とするベテラン勢が多く並ぶ中、『フランケンシュタイン』のジェイコブ・エロルディのフレッシュさが際立つ。前哨戦から考えれば、ゴールデン・グローブ賞を受賞した『センチメンタル・バリュー』のステラン・スカルスガルドが、一歩リード。しかし、ここにきて勢いを増している『罪人たち』のデルロイ・リンドーの存在感も気になるところだ。『ワン・バトル・アフター・アナザー』からはベニチオ・デル・トロとショーン・ペンが候補入りして票が割れるだろうが、サプライズ受賞が多い部門でもあるので、受賞の可能性は十分にある。(今祥枝)
ベニチオ・デル・トロ『ワン・バトル・アフター・アナザー』

荒々しさと知性を併せ持つ独特の存在感で、ハリウッドにおける“性格俳優”の地位を確立してきた。1995年の『ユージュアル・サスペクツ』で注目を集め、2000年の『トラフィック』では、麻薬戦争の最前線に立つメキシコの警官を演じてアカデミー賞助演男優賞を受賞。2008年の『チェ 28歳の革命/39歳 別れの手紙』ではタイトルロールを演じて、カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。『ワン・バトル・アフター・アナザー』では空手道場の“センセイ”にふんし、独特のユーモアあふれる演技で存在感もたっぷり。3度目のオスカー候補となり、受賞も射程圏内だ。
ベニチオ・デル・トロ
1967年2月19日生まれ
プエルトリコ・サンヘルマン出身
主な出演作
『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021)
『ボーダーライン』シリーズ(2015・2018)
『トラフィック』(2000)
ジェイコブ・エロルディ『フランケンシュタイン』
2018年の『キスから始まるものがたり』で当たり役を得て、知名度を上げた。その後、HBOドラマ「ユーフォリア/EUPHORIA」シリーズ(2019・2021)のネイト役で評価され、一気に同世代を代表する存在に。近年はエメラルド・フェネル監督作『Saltburn』(2023)やソフィア・コッポラ監督作『プリシラ』(2023)、フェネルの新作『嵐が丘』ではヒースクリフを演じるなど、作家性の強い作品への出演が続いている。ギレルモ・デル・トロ監督作『フランケンシュタイン』では、特殊メイクを多用したタイトルロールを熱演。嬉しい初のオスカーノミネーションを獲得した。
ジェイコブ・エロルディ
1997年6月26日
オーストラリア・クイーンズランド州出身
主な出演作
『嵐が丘』(2026)
『プリシラ』(2023)
『Saltburn』(2023)
デルロイ・リンドー『罪人たち』
ロンドンに生まれ、アメリカで演技の勉強をしたリンドーは、1970年代後半からキャリアの初期に演劇の世界で確固たる実績を積んだ。1992年のスパイク・リー監督作『マルコムX』でアフリカ系アメリカ人男性の怒りと矛盾を体現し、映画界でも注目を集めた。メッセージ性の強い作品に出演する一方で、『60セカンズ』(2000)や『ザ・コア』(2003)といったブロックバスターやテレビシリーズでも活躍。2020年の『ザ・ファイブ・ブラッズ』の演技が高く評価され、『罪人たち』ではワケありのブルースマン役で念願のオスカー候補入り。サプライズ受賞もあり得る。
デルロイ・リンドー
1952年11月18日
イングランド・ロンドン生まれ
主な出演作
『ザ・ファイブ・ブラッズ』(2020)
『クロッカーズ』(1995)
『マルコムX』(1992)
ショーン・ペン『ワン・バトル・アフター・アナザー』
屈指の実力派俳優であり、監督としても強い作家性を発揮してきた。1980年代に『初体験/リッジモント・ハイ』で注目を集めた後、『カリートの道』の演技が高く評価され、1995年の『デッドマン・ウォーキング』でアカデミー賞主演男優賞にノミネート。以後、『ギター弾きの恋』(1999)、『I am Sam アイ・アム・サム』(2001)で同賞ノミネートを経て、『ミスティック・リバー』(2003)と『ミルク』(2008)で主演男優賞を受賞。通算6度目のノミネートとなる『ワン・バトル・アフター・アナザー』では、変態軍人役でエキセントリックで強烈な印象を残し、初の助演部門の候補になった。
ショーン・ペン
1960年8月17日
アメリカ・カリフォルニア州生まれ
主な出演作
『リコリス・ピザ』(2021)
『ミルク』(2008)
『ミスティック・リバー』(2003)
ステラン・スカルスガルド『センチメンタル・バリュー』
スウェーデンを代表する国際派俳優。母国ではテレビドラマで若くして国民的スターとなり、後にラース・フォン・トリアー監督作『奇跡の海』(1996)、『ドッグヴィル』(2003)などで圧倒的な演技力を発揮。カンヌ国際映画祭やヨーロッパ映画賞など国際的な受賞歴も多い。英語圏では『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズ(2006、2007)や『マンマ・ミーア!』シリーズ(2008、2018)、マーベル映画『マイティ・ソー』シリーズ(2011、2013、2022)などで、広く知られている。批評家好みの『センチメンタル・バリュー』で初のアカデミー賞にノミネート。ゴールデン・グローブ賞の受賞で勢いを得て、受賞に最も近いと見られている。
ステラン・スカルスガルド
1951年6月13日生まれ
スウェーデン・イェーテボリ出身
主な出演作
『DUNE/デューン 砂の惑星』シリーズ(2020、2024)
『マンマ・ミーア!』シリーズ(2008、2018)
『奇跡の海』(1996)


