見どころ:『しあわせのパン』などの三島有紀子監督が、再び北海道を舞台にして放つヒューマンドラマ。北海道・空知でワイナリーを営み小麦の栽培をする年の離れた兄弟と、キャンピングカーで自由気ままに旅する女性の触れ合いを見つめていく。『しあわせのパン』にも出演した大泉洋と『ヒミズ』などの染谷将太が主人公の兄弟を、シンガー・ソングライターの安藤裕子が二人の前に現れる旅人を好演する。温かくて心癒やされるストーリーもさることながら、北海道でのオールロケを敢行して捉えられた美しい四季の風景も見もの。
あらすじ:北海道の空知に暮らす、アオ(大泉洋)と一回り年の離れた弟のロク(染谷将太)。父親が遺(のこ)したぶどうの木でアオはワインをつくり、ロクは小麦を育てていた。黒いダイヤと称されるぶとうピノ・ノワールから醸造した理想のワインづくりに悪戦苦闘しているアオとそんな彼を見守るロクの前に、キャンピングカーに乗って旅をしているエリカ(安藤裕子)という女性が現れる。何とも言えぬ不思議な魅力を放つ彼女との交流が、兄弟の生活にちょっとした変化をもたらす。
挫折した元世界的指揮者がワイン造りを通して再生していく姿を、我の強い兄に複雑な感情を持つ弟と、どこからともなく現れた自由奔放な女性との心の触れ合いを絡めて描いていく。
中央ヨーロッパ風の牧歌的な衣装やセット、オーガニック野菜たっぷりの食事などなど、ナチュラル系女性誌から抜け出したようなお洒落ビジュアルは、確かに北海道の風景とマッチするものの、その過度な西洋かぶれが逆に作品の印象を軽薄なものにしている。ジプシー風の音楽隊とか、正直見ていて小っ恥ずかしい。
エミール・クストリッツァ辺りに感化されたのだろうなと想像しつつ、結局のところスローライフ好き女子向けのファンタジーとしか思えず。
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