キングダム　エクソダス＜脱出＞ (2022)：映画短評

　前シリーズから25年を経て続きが見られるとは思ってもいなかった。それも嬉しいが、毒気たっぷりのトリアー節が健在（あのテーマ曲も！）であることに、さらにニヤニヤさせられる。

　神経外科医たちや院長、患者などクセが強すぎるキャラクター。手持ちカメラによるドキュメント・スタイルゆえ、彼らのイビツなキャラがリアルに際立つ。デンマーク人とスウェーデン人の対立を通した分断をはじめ、人間の愚がとらえられている点も面白い。

　ドラマ５話分を一気見するのは気合が要るが、W・デフォーの不気味さや、前作をネタにしたメタ構造ギャグなど仕掛けは多く、まったくダレない。さらに続くことを希望。

前作から四半世紀のあいだに、亡くなったキャストもいることで、「どう完結させるか？」というマニアの不安もなんのその！　巨大病院に起こる不可解な出来事の謎解きは、夢遊病者の老女に引き継がれ、新任のスウェーデン医師は亡き父同様、デンマークとのしがらみに巻き込まれる「次世代の物語」が展開。一方、前シリーズによって、病院の評判はガタ落ちというメタフィクション構造にした脚本も素晴らしく、日本のファンが聖地巡礼するなど爆笑の連続！　おなじみウド・キアに加え、ウィレム・デフォーに黒幕も参戦。これまで同様、耐久レース完走の爽快感に加え、「本当に終わってしまった！」という深い悲しみに襲われるだろう。