知らないカノジョ (2025):映画短評
知らないカノジョ (2025)
ライター2人の平均評価: 3
『夏への扉』に通じる三木孝浩監督のSF愛
パラレルワールドを描きつつ、じつは王道なラブストーリー『ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから』のリメイクという着眼点は、かなり素晴らしい。初演技とは思えないmiletの芸達者ぷりには驚かされるが、画に描いたような憎まれ役を演じる眞島秀和もいい。そして、やけに気合いが入ったSF小説の再現シーン。『夏への扉 ―キミのいる未来へ―』を経た三木孝浩監督は、今回も職人としての仕事をしっかりこなしている。とはいえ、夫婦関係を見つめ直すなど、テーマが若干被っている『ファーストキス 1ST KISS』の後発だと、脚本の弱さなど、いろいろとモノ足りなさを感じてしまうのも事実。
miletという選択
中島健人とmiletというありそうでなかった組み合わせのファンタジーラブストーリー。何よりmiletというキャスティングは大正解だった。miletは本格的な俳優業は今回が初めてになるが、演技についてはかなりトレーニングを積んだとのことで、なかなかどうしてしっかりとしている。圧倒的な人気を誇るカリスマシンガーという役どころは演技でやるより実際にそうであるある人が演じた方が説得力が増す。元ネタにあたるフランス映画もチャーミングな逸品だったが、今回もなかなかどうして可愛らしい映画に仕上がった。こういったジャンルが得意な三木監督の手腕は流石の一言。