ねこしま (2023)：映画短評

2016年の大傑作ドキュメンタリー映画「猫が教えてくれたこと」を愛してやまない人なら、きっとこれも気に入るはず。エキゾチックな街でのびのびと、同時に切磋琢磨に生きる猫ちゃんたちを、優しい目で追っていく。「猫が教えてくれたこと」同様、野良猫ちゃんたちを世話してあげる一般の人々に共感し、感動。風景も美しく、いつかここに行ってみたいと思いを馳せてしまう。暗い世の中にひとときの安らぎを与えてくれる映画。猫の動画はネットにいくらでも上がっている時代だけれども、ひとつの空間に集まった猫好き仲間と同じ気持ちを分かち合う特別な体験のために、劇場で見ることをぜひおすすめ。

　数えきれないほどの野良猫が人間と共生する南欧のマルタ共和国。そんな「猫の楽園」で猫たちの世話をしながら生活する住民たちの日常を、地元在住で猫好きのサラ・ジェイン・ボルテッリ監督が温かな眼差しで見つめたドキュメンタリー映画である。地中海に浮かぶ島国マルタの風光明媚で長閑な街並みと、そこで自由気ままに生きる愛くるしい猫たちを眺めているだけでも至福！もちろん、法人格のあるNGOが存在しない、ボランティアの負担が大きすぎるなど、綺麗ごとでは済まされない問題も浮かび上がるわけだが、しかし人間にそこまでさせる魅力が猫さんたちにはあるのだよね。とにかく猫に癒されたい人は必見！