サターン・ボウリング (2022):映画短評
地下のボウリング場の夜が赤い
夜が赤い。亡父の遺した地下のボウリング場はいつも薄暗く、内装は赤く、まさに悪魔が出現するのに相応しい景観だが、そこで起きるのは超常現象ではない。そこで女性を狙う猟奇殺人鬼が犯行を繰り返すが、それにも増しておぞましいのは、亡父の友人である狩猟愛好家グループの老人たちの行動だ。彼らが自分たちの価値観を主張し、それを輪になって歌い上げる光景の異様さ、忌まわしさ。そして、連続殺人犯にも刑事にも、彼らと共有するものがあることが見えてくる。
監督は、アニエス・ヴァルダに師事して『冬の旅』の編集を務めたパトリシア・マズィ。『落下の解剖学』のシモン・ボーフィスによる撮影が底冷えする夜を映し出す。
この短評にはネタバレを含んでいます




















