テレビの中に入りたい (2024):映画短評
ぶっ刺さるはずの人に全員ぶっ刺さって欲しい
個人的には今年一番の衝撃かも。架空の劇中番組を組み込んだ入れ子構造は一見複雑だが、芯にあるのは一般的な社会規範に馴染めぬ人間の葛藤と焦燥だ。時代背景としては米大統領選で民主党が勝利した96年を起点に、やがてトランプ時代に突入する約30年の推移。“ある本当のこと”を自らの胸に秘めた少年が大人になるまでをドリームポップ&グランジ的な美意識を絡めて描いていく。
重要な主題は“弱さ”の肯定かと思う。声高な話題作が溢れる中、この映画が絞り出す声のボリュームは1かそれ未満くらい。だが作り手の新進気鋭、ジェーン・シェーンブルン監督(87年生)の想いはしっかり伝わる。規格外のラストは一生忘れられそうにない。
この短評にはネタバレを含んでいます




















