すべて真夜中の恋人たち:映画短評
都市を漂い発現する固有の瞬間――我々にとって“光”とはなにか
ここまで“光”という主題を映画的に探究した作品は稀ではないか。『グッド・ストライプス』『あのこは貴族』の岨手由貴子監督が16mmフィルムに宿した新たな到達点。原作小説を大切に受け継ぎつつ、都市に散在する光の粒子が主人公・冬子の内面と共鳴し、感情の揺らぎを可視化していく。
そこにはエドワード・ヤン、特に『恋愛時代』の影響も色濃く映る。ヤンが台北を舞台に描いた人間関係の流動性を、本作は東京で、偶然の交差が生む“出会いの可能性”として捉え直した。交換可能な関係の残酷さではなく、その只中に現れる固有のかけがえのなさ。人と人がすれ違い、結びつく瞬間に灯る微かな輝きこそ本作が見つめる“光”なのだろう。
この短評にはネタバレを含んでいます




















