おさるのベン (2025):映画短評
ライター4人の平均評価: 3.3
『海底47m』シリーズ監督らしいB級感がたまらない
リチャード・フランクリン監督の『リンク』を思い起こさせる暴走チンパンジー映画だが、「狂犬病」設定という意味では『クジョー』であり、ティーンが酷い目に遭う流れは往年のスラッシャームービーを踏襲。『アナベル』シリーズのプロデューサーだけに、あえて『コーダ あいのうた』のトロイ・コッツァーを起用するなど、ジェイソン・ブラムとは異なるハッタリ感満載。それに加えて、“第二のポール・W・S・アンダーソン”こと『海底47m』シリーズのヨハネス・ロバーツ監督らしいB級感が随所に出まくり。なかでも、水が苦手なベンを相手に立ち回るプールを使った演出がバカバカしくて面白い。
グロさ全開の「クジョー」×スラッシャー
大自然に囲まれたハワイのポツンと一軒家へ集まった若者たちが、狂犬病に感染して凶暴化したペットのチンパンジーに次々と襲われていく。ジャンル路線としては『クジョー』×スラッシャー。人間よりも怪力ですばしっこく、なおかつ人間並みに頭が良くて知恵のある「おさるのベン」は、考えようによってはジェイソンみたいに猪突猛進の単細胞な殺人マシンよりもたちが悪い。基本はストレートなボディカウント映画。それ以上でもそれ以下でもなく。メインキャラでも容赦なくバンバン殺されていく潔さと、顔面破壊にこだわった残酷描写の強烈なグロさも含め、あまり深いことを考えず楽しめるホラー・エンターテインメントと言えよう。
サルは人間に似ているから怖い
邦題が見事。名作絵本でアニメにもなった「おさるのジョージ」はみんなが知っている人気者だが、ではベンはどうなのか。「特報」の緊急電話の声だけで描く演出も秀逸で、何の映画なのかと期待を煽る。
そんな本作は、愛玩動物が凶暴化する『クジョー』の系譜の伝統的モンスター・ホラー。このジャンルがコメディではなく正攻法で描かれるのが久々で、新鮮。美少女たちとボーイフレンドたちが惨殺されるティーンホラーの定番を踏まえつつ、チンパンジーが電子機器を操作するなど、現代的要素もプラス。チンパンジーの姿や動作が人間に近く、まるで邪悪な人間のように見えることから生じる、サル映画ならでは恐怖に溢れている。
ただ次々に若者が死ぬB級ポップコーン映画
89分、猿がおバカな若者を次々に殺すだけのB級ポップコーン映画。残酷さはたっぷりで、何も考えずにキャーキャー言いたい気分なら十分ありかも。とは言え、このジャンルでももう一段上に行けたはず。猿は人間に最も近い動物であり、ベンは頭が良いしこの家族のペットでもあるのに、ただ凶暴な動物として描かれ、思いやりがなさすぎ。人間のキャラクターもこれ以上にないほど薄っぺらく、バックグラウンドも中途半端に説明されるだけでその先どこにも行かず。もちろん、潔くシンプルに徹したのかもしれないが。最新テクノロジーのCGを使う「猿の惑星」に対し、あえてアナログな選択で人間の俳優に猿を演じさせたのはなかなか面白い。

























