EPiC/エピック エルヴィス・プレスリー・イン・コンサート (2025):映画短評
ライター4人の平均評価: 4.8
ほかのことは忘れ、”パフォーマー”としての彼に酔う
2022年に「エルヴィス」、翌年に別の視点から見る「プリシラ」が公開され、まだエルヴィス・プレスリーの映画が必要なのかと思いきや、十分すぎる存在価値あり!「エルヴィス」でのオースティン・バトラーはオスカーに候補入りしただけある凄さだったが、これは最初から最後まで本人の、つまり本物のパフォーマンス。お仕事をする時の彼にフォーカスし、私生活にはほぼ触れない。彼が心から楽しみつつ歌って踊っているのはスクリーンを通しても明らかで、伝記映画で得ていた彼の人生の暗い部分についての知識が(少なくとも観ている間は)吹き飛んでしまうほど。私自身も含め、彼の全盛期に幼かった世代の人にとっては見逃せないチャンス。
エルヴィスの世界に没入できるユニークな映画体験
バズ・ラーマン監督が伝記映画『エルヴィス』を制作する過程で発掘した、約60時間にも及ぶ膨大な未公開映像や未公開音源を2年以上かけてデジタル修復し、これまでにない手法で97分間にまとめ上げた作品。「ドキュメンタリーでもコンサート・フィルムでもない没入型映像作品」と宣伝文句にある通り、初蔵出しのコンサート映像にプライベート映像、さらにはインタビュー音源を一見したところ自由自在なようでいて、しかし明確な意図に沿って巧みにコラージュしていくことで、文字通り「エルヴィス・プレスリーの世界」へと没入できる仕掛けとなっている。これは非常にユニークかつ新しい試み。特にIMAXでの鑑賞がおススメだ。
リマスターで甦る意味、ここまで感じさせてくれる作品は貴重
半世紀も前のフッテージを使った場合、その映像の質感から「懐かしいものを観てる」感覚になるものだが、デジタルリマスターによるクリア化で、映し出されたプレスリーが、いま活躍しているアーティストかと錯覚。そんな奇跡が起こる。
言い換えれば、プレスリーのパフォーマンス、圧倒的カリスマ歌唱が、まったく色褪せていない、ということ。観客が我を忘れる熱狂ぶりに“時代”を感じるが…。
各曲のシーンでは、メインのステージを軸にしつつ、リハーサルや他所での歌唱を織り交ぜたりと絶妙な編集で曲およびプレスリーの魅力を増幅。「どの曲も初めての気持ちで」など発言もイカしてる。
ライブドキュメンタリーとして映画史に残る傑作。
エルヴィスを未来へと解き放つ
『エルヴィス・オン・ステージ』(70年)から半世紀。バズ・ラーマンは『エルヴィス』の映像魔術をさらに推し進め、膨大なアーカイヴに最先端技術で新たな火をつける。電撃のような編集と色彩が“永遠の現在”を切り開き、70曲以上が畳みかける全編ハイライトの構成は、ステージを記録から体験へと転換させる。
外部の語りを排したエルヴィスの声と身体による純粋な作品組成。『ザ・ビートルズ: Get Back』と同様の潔さがジャンプスーツや汗の輝き、音楽の劇的な躍動を圧倒的な“今”として我々の眼前に立ち上げる。ソフィア・コッポラの『プリシラ』が示した別の像とも響き合い、エルヴィスを再び文化の中心に召還するのだ。























