星の時 (1985):映画短評
ブラジルの深刻な格差を寓話的タッチで描く
あのポーリン・ケイルにも高く評価されたブラジル映画の名作が、41年の時を経て日本初公開される。主人公は北部の貧しい田舎から大都会へ出てきた若いタイピスト女性。学歴も教養も常識もなく、マナーや身だしなみも知らず、コミュニケーション能力にも乏しく、それゆえ最低賃金以下の仕事に甘んじる彼女だが、しかし本人に悲壮感はあまりない。最底辺の貧困層に育った彼女は、自分の境遇が地獄だという自覚がないのだ。そんなヒロインが周囲から嘲笑されつつも、ささやかな幸せを求めて日々を生きる。人は生まれ育つ環境を選べず、世間には本人の努力だけじゃ乗り越えられぬ壁がある。その非情な現実を、どこか寓話的なタッチで描いた佳作。
この短評にはネタバレを含んでいます



















