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日本の最高齢監督・新藤兼人の回顧展がニューヨークで好評価!息子でプロデューサーの新藤次郎氏が登壇!

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新藤次郎氏
新藤次郎氏

 映画『ウルフマン』や『21グラム』などでおなじみの俳優ベニチオ・デル・トロが、アメリカのニューヨーク、BAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)に働きかけ、日本人最高齢でメガホンを取った新藤兼人監督の回顧展を行った。今回、そのイベントに参加した新藤兼人監督の息子で、プロデューサーとして活躍する新藤次郎氏が新作『一枚のハガキ』と父親について語った。

 同回顧展は、ベニチオ・デル・トロが自ら選んだ新藤兼人監督の秀作10作品と新作『一枚のハガキ』を4月22日から5月5日まで公開している。その中には映画『原爆の子』、『裸の島』、『鬼婆』、『母』などが含まれ、特に広島出身の新藤監督にとって原爆を描いた作品がアメリカで上映されることは、深い意味合いを持つこととなった。

 今回、ベニチオ・デル・トロがかかわることになった経緯について「ある方がベニチオ・デル・トロさんに、『裸の島』のDVDを見せたんです。そのときに感動していただいて、彼は北米でこの『裸の島』を上映したいと言ってきたんです。そこで彼が父の過去の10作品を決めて、BAM(ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック)で上映することを提案してくれたんですよ」と今回のイベントはベニチオの一ファンとしての尽力があったようだ。

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 日本映画の黄金期に育った次郎氏は「文字よりも映像のほうが表現として相手に伝える能力に長けていると学生時代から思っていて、そこで映画をやろうと思ったんです」と父親と同じ道を選ぶことになったそうだ。ただ監督ではなく、あえてプロデューサー業を選択したのは「監督は並の才能ではできないと思ったんです。もちろん、自分を表現するには監督がいちばん良いのですが、監督とタッグを組んでプロデューサーとして働くことも同じプロセスだと僕は信じています」と信念を語った。

 だが、なぜ父親の作品をプロデュースすることになったのだろうか。「確かにこういう形で、息子が父親の作品をプロデュースしているケースは少ないですね。これまで、父は基本的に自分の作りたいものを映画にしてきました。ただ、商業的には疑問をもたれる作品もいくつかありました。あくまで自分の作りたいものを製作するならば、自分が監督をするだけでなく、プロデューサーも務めなければいけなかったんです。だから、僕は予算の上で反対することはあっても、最終的には肉親として(父親と)同じ側に立っていたいと思ったのが(プロデューサーとしての)始まりでした」と語った次郎氏は、数々の秀作を生み出した父親とのタッグを組んで、すでに20年以上経つそうだ。

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 今回、北米のプレミアとなった新作『一枚のハガキ』については「父は庶民の目から見た戦争を描きたかったんです。一人の兵士が死ぬということは、国にとってはほんの一人の人物ですが、家族にとって食いぶちを失うことになるので、家族を殺すことでもあるんです。父は(我々みんなが)この家族の立場にならなければ、戦争というものが簡単に起きてしまうということを訴えたかったんです」と述べたとおり、映画は戦地を描かずに戦争とともに戦う家族の苦悩がつづられた秀作に仕上がっている。

 今回の回顧展を通してのアメリカの反応は「ニューヨークの反応は期待していたよりずっと良かったです。非常に素直で純粋に観ていただきました。今回は、『原爆の子』と『第五福竜丸』といった原爆と水爆を描いた映画を上映したんですが、かなり評判が良かったですね。さらにこの二つの映画をニューヨークで上映するということで、原爆の被害にあった広島県の方々も喜んでくださって、中には『これは乾杯すべきことです』と日本酒を送ってくれた方もいらっしゃいました」と述べた次郎氏は、2週間行われた回顧展のほとんどの上映が、満席であったことについても満足しているようだった。

 これから『一枚のハガキ』は、モスクワ国際映画祭に出展する予定で、過去に新藤兼人監督は『裸の島』で同映画祭でグランプリを受賞している。これまで黒澤明監督や溝口健二監督らとともに日本映画の黄金期を支えた巨匠新藤兼人作品を、まだご覧になっていない方がいれば、これからぜひ観ていただきたい。 (取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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