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原爆映画がアメリカで一般上映 日本最高齢監督・新藤兼人のNY回顧展をベニチオ・デル・トロが企画

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映画『一枚のハガキ』場面写真
映画『一枚のハガキ』場面写真 - (C)2011「一枚のハガキ」近代映画協会/渡辺商事/プランダス

 日本最高齢現役映画監督、新藤兼人の回顧展が、アメリカ・ニューヨークで開催されることが明らかになった。オスカー俳優ベニチオ・デル・トロの働き掛けで開催が決定したという本展の初日であり、新藤監督の99歳の誕生日である4月22日には、最新映画『一枚のハガキ』のプレミア上映が行われる。

 今回の回顧展では、新藤監督の作品に感銘を受けたオスカー俳優ベニチオ・デル・トロがディレクターとして、自ら選んだ10作品をアメリカ・ニューヨークで上映。2010年の映画『一枚のハガキ』に至るまで、実に半世紀以上に及ぶ新藤監督の映画人生からわずか10作品の上映ではあるものの、代表作といえる作品を並べたラインアップは壮観の一言。とりわけ、広島県出身の新藤監督は、戦後間もない1952年に制作され、世界各国で賛否両論を巻き起こした原爆映画『原爆の子』がアメリカで上映されることについて「是非、いまのアメリカの人々に観てほしい。そして、原爆、戦争と言うものに対して一緒に考えて欲しい」と訴えている。

 新藤監督は今回の企画を立ち上げたベニチオの尽力にも言及。映画『原爆の子』については1953年にカンヌ国際映画祭に出品された際、アメリカの意向を受けた外務省が、受賞妨害を試みたことが明らかになっており、アメリカで一般上映が行われるのは初めて。そのような状況で上映を企画したベニチオには新藤監督も「彼の勇気ある行動を非常にありがたく思っております」と感謝の意を示した。

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 新藤監督の99歳の誕生日である回顧展初日の4月22日には、新藤監督自身が「最後の映画」と称している映画『一枚のハガキ』のプレミア上映も行われる。戦後の日本映画界を支えてきた映画監督の作品に、アメリカ人がどのような反応を示すのか。回顧展は、4月22日から5月5日まで、ニューヨークのBAM Rose Cinemaにて開催される。(編集部・福田麗)

(以下、新藤兼人監督のコメントを全文掲載)
 私は広島の生まれだから、広島へ原爆が落とされたことを99歳のいまも忘れることが出来ない。何故、無断で戦場ではなく、平和な町へ落としたのか? それを問いたい。
 今回、「原爆の子」がアメリカの中央都市であるNYの映画館で公開されることは、非常に名誉だと思うし、この映画を作った甲斐があると喜んでいる。この映画は被爆7年後の広島で撮影された。当時はまだGHQの占領下にあり、復旧しつつある広島の町とは言え、生々しい原爆の傷跡が感じられるだろう。是非、いまのアメリカの人々に観てほしい。そして、原爆、戦争と言うものに対して一緒に考えて欲しい。
 日本ではいま過去最悪の大地震と津波により、多大な人命が失われただけでなく、原子力発電所の被害により放射能の恐怖に覆われている。いま、原爆・放射能の問題は世界の問題となった。これからの世界を作る人々にこの世界の問題を考えてほしい。みんなが未来を作るのです。
私は今年99歳になります。もうこれで私の映画人生は終わります。私の映画人生を終わらせるために最後の映画を撮りました。「一枚のハガキ」という映画です。最後の力をこめて作った映画です。戦争はひとりの兵士を殺すだけではなく、そのすべての家族、家庭も壊すおろかな行為です。そして、どんなことがあっても人間は立ち上がれるという人間の力強さを、僕の長い人生の中で締めくくりの映画として作りました。その「一枚のハガキ」も今回上映されます。どうぞ皆さん「一枚のハガキ」もちゃんと見て下さい。
 最後に、今回この催しを企画して下さったベニチオ・デル・トロさんに感謝します。彼の勇気ある行動を非常にありがたく思っております。アメリカの人に私の代表作を見てもらえるのは、私にとって大変嬉しいことですし、非常に光栄に思っています。

映画『一枚のハガキ』は8月6日テアトル新宿ほか全国公開

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