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劇団四季、東北3県にて特別招待公演を初実施 各地の小中学校体育館にて約1か月の巡回公演

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劇団四季「ユタと不思議な仲間たち」場面写真
劇団四季「ユタと不思議な仲間たち」場面写真 - 撮影:荒井健(写真は東京公演より)

 劇団四季は、東日本大震災にて大きな被害を受けた東北3県11都市(予定)にて、ミュージカル「ユタと不思議な仲間たち」の特別招待公演を7月下旬から8月下旬の夏休み期間中に実施することを発表した。キャストも東北出身者を中心に、現地の小中学校の体育館を利用したシンプルな舞台で被災地の子どもたちに変わらぬ感動を届ける、震災後初の東北での大規模公演だ。

 約1か月前より着々と準備が進められていた、劇団四季による東北公演の詳細がいよいよ発表された。東北でこのような大規模な公演が行われるのは、劇団四季に限らず、震災後初のこと。現時点では岩手県・宮城県・福島県の3県11都市での上演を予定しており、地域の子どもたちを中心に招待。学校が夏休みに入る7月下旬から8月下旬にかけての1か月、各地の小中学校の体育館を会場に行われる。

 気になる演目は東北を舞台にした座敷わらしと少年の温かな交流を描いたミュージカル「ユタと不思議な仲間たち」。東北の美しい自然を背景に、友情と連帯のテーマが奏でられるミュージカルで、出演者も東北出身者が中心。故郷が大きな被害を受けた者たちも多いが、だからこそ故郷での上演を彼らが誰よりも望んでいるはず。東京公演などで使われている舞台セットを運ぶのは難しいため、スタッフは現地視察を繰り返して演出プランなどを練り上げ、演出・振り付け・ステージングはまったく新しいものに。数年にわたるロングラン作品の多い劇団四季にとってはわずかともいえる1か月の公演ではあるものの、そこに注ぎ込まれる労力は決してほかの公演と比べて小さいものではない。俳優たちも東京公演の合間を縫って、けいこに励むなど並々ならぬ決意が感じられる。

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 作中で描かれるのは「人は決して一人ではない。いつも誰かに見守られている」というメッセージ。それを子どもたちの肌で感じてもらいたいという願いから、ステージではなく、体育館の床を舞台にするという大胆な演出を採用。俳優たちを一方的に眺めるのではなく、観客も舞台の上に立っていて、俳優たちから観られている感覚は、本作のメッセージをより深いところまで子どもたちに伝えてくれるはず。「子どもたちに囲まれ、子どもたちと同じ視線で演じる」という本公演のコンセプトは決して言葉だけのものではなく、本当に東北の子どもたちのことを考えたからこそ出てきたものなのだということを思い知らされる。

 震災直後には多くの団体が公演を自粛した中で、休演期間こそ設けたものの、劇団四季はいち早く上演を再開し、舞台には震災で沈んでいた人々の心を上向きにする力があることを実証してみせた。それだけでなく、会場では寄付金を募るなど、公演を行うことでより東北を支える助けになることを示す活動にも積極的だった。被災地の小中学校では、学校行事の一環で毎年劇団四季の作品を見に行くところもあったというが、今年は震災の影響により中止に。それだけに、今回の公演は東北の観客にとっても、劇団四季にとっても、直接、触れ合うことのできる待望のイベント。被災地での生活はまだまだ元通りとは言い難いが、今回の公演が、少しでも東北復興を推し進めてくれることを願いたい。(編集部・福田麗)

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