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行政からの圧力受ける釜山国際映画祭、ベルリン国際映画祭で共同声明集会決行!

行政からの圧力受ける釜山国際映画祭、ベルリン国際映画祭で共同声明集会決行!
「WE SUPPORT BIFF」を掲げる映画祭参加者・スタッフたち - (C)ロッテルダム国際映画祭

 行政から圧力を受けている釜山国際映画祭(BIFF)を支援しようと、11日(現地時間)にドイツで開幕する第66回ベルリン国際映画祭で14日、韓国の4つの映画祭、全州国際映画祭、ソウル国際女性映画祭、プチョン国際ファンタスティック映画祭、釜山国際映画祭により共同声明集会が開かれることになった。映画祭への政治介入を防ぐべく世界へ共闘を呼びかけるという。

 2014年の釜山国際映画祭で、旅客船セウォル号沈没事故をめぐる韓国政府の対応の問題点を告発したドキュメンタリー映画『ダイビング・ベル(原題)』を釜山市からの上映中止要請を無視して上映したことにより、釜山市のみならず政府からも助成金削減などの圧力が続いている。ついに今年1月、釜山市は会計にミスがあったとしてイ・ヨングァン映画祭執行委員長を刑事告訴する強硬手段に出た。これには、韓国の他の映画祭も黙ってはいられなかった。

 全州国際映画祭、ソウル国際女性映画祭、プチョン国際ファンタスティック映画祭、堤川国際音楽映画祭、DMZ国際ドキュメンタリー映画祭の韓国5つの映画祭は1月に、「これはBIFFだけの危機ではない」と題した共同声明を発表。彼らは一連の圧力について「芸術表現の自由と公共正義を掲げたBIFFに対する、政府と市の政治的報復でしかない。政府は映画祭を誇りにする人々の思いを踏みにじるばかりでなく、韓国映画界の全体を誹謗している」と厳しく非難している。

 続けて、5つの映画祭は「わたしたちは映画祭の自律性と表現の自由をそこなう政治などあらゆる圧力に断固反対する」「イ・ヨングァン氏に対する刑事告発は撤回されねばならない」「BIFFは重要な文化資産である」という3点に同意を示した。しかし、この声明を発表した直後、早くも韓国政府は5つの映画祭に対して助成金削減という報復措置をほのめかしているという。

 このような状況を受け、このままでは釜山国際映画祭存続の危機となりかねないため、昨年は約1万7,000人の映画関係者が集まったベルリン国際映画祭で、韓国映画界の内情を訴えることになったという。

 すでに支援プロジェクト「I support BIFF」の輪は、SNSなどを通じて広がっている。是枝裕和監督や、台湾のホウ・シャオシェン監督、中国のワン・ビン監督ら釜山国際映画祭ゆかりの監督が名乗りを上げているほか、先月27日から今月7日までオランダで開催された第45回ロッテルダム国際映画祭では、ベロ・ベイアー映画祭ディレクターが支持を表明。同映画祭スタッフや参加者らが「WE SUPPORT BIFF」と書いた用紙を持ち写った写真と記事を、映画祭オフィシャルサイトのデイリーニュースページのトップで紹介した。

 また、英国の映画評論家で第1回から釜山国際映画祭のプログラム・コンサルタントを務めているトニー・レインズ氏は、自身のブログに「釜山国際映画祭。攻撃される」と題した公開書簡を掲載した。レインズ氏は「みすぼらしい田舎くさい港町を目を見張るような国際的な都市に変身させた」と釜山国際映画祭が釜山市にもたらした20年間に及ぶ功績を高く評価。その釜山国際映画祭が上映中止を拒否した事を「至極まっとうだ」と評し、それを受けて政府が圧力をかけていることを、「cutting off your nose to spite your face(自分の顔に腹を立てて鼻を切り落とす)」という「腹立ち紛れに自分の損になることをする」行為を指す英国のことわざを用いて、痛烈に批判した。

 レインズ氏はさらに、2007年に創設されたソウル忠武路国際映画祭が、複数の政治家たちの私欲争いのためにわずか4回で終焉を迎えたことを挙げ、「イ・ヨングァン釜山国際映画祭執行委員長が強制辞任となった場合、韓国はおろか世界中の映画人が映画祭をボイコットし、釜山国際映画祭はソウル忠武路国際映画祭の後に続くだろう」と予測。「映画祭の使命とは、多様な視点を提示することにある。たとえ論争を呼んだり人を不愉快にすることがあっても。それこそが民主主義というものだ」と力説している。

 今後、ベルリン国際映画祭に続いて、来月にはアジアの映画人が一堂に会するアジア版アカデミー賞こと「アジア・フィルム・アワード」もマカオで開催が予定されており、釜山国際映画祭支援の連帯はさらに強固となることは必至だ。

 ちなみに釜山国際映画祭の動員数は例年20万人超え。釜山市広域市の公式サイトによると、同映画祭の経済的波及効果は、生産誘発774億ウォン(約77億4,000万円)(1ウォン0.1円計算)と換算されている。日本でのブームは落ち着いたものの東南アジアでの韓流ブームは健在で、韓国の一大産業となっている。世界の映画人を味方につけた韓国映画人と、釜山市・韓国政府の対決は、現政権の足元を揺らす可能性もありそうだ。(取材・文:中山治美)


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