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伝説の日本人ヒーロー役に感動!尾崎英二郎がハリウッドで戦い続けるワケ

伝説の日本人ヒーロー役に感動!尾崎英二郎がハリウッドで戦い続けるワケ
尾崎が演じた日本人の勇士マサオ・クメ アップ多し! - (C) 2014 Little Boy Production, LLC. All rights Reserved.

 現在、上映中の映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』で、主人公ペッパーに大きな影響を与える日本人の勇士マサオ・クメ役で出演している日本人俳優、尾崎英二郎。映画『ラスト サムライ』(2003)や『硫黄島からの手紙』(2006)、人気海外ドラマ「HEROES/ヒーローズ」(2006~2010)や「エージェント・オブ・シールド」(2013~)などに出演し、2007年から米ロサンゼルスを拠点に活躍している。映画のプロモーションのために8月下旬に来日を果たした尾崎が、8月27日の初日にヒューマントラストシネマ有楽町で舞台挨拶を行い、大きな拍手で迎えられた舞台挨拶の興奮も冷めやらぬまま、直後に行われたインタビューで作品についての熱い思いを語った。

尾崎英二郎
来日した尾崎英二郎

原爆を題材にしながらファミリーで観られる意欲作

 今作が日本公開となり、来日が実現したことを、尾崎はこれまで以上に特別な思いで受け止めているという。それは映画の内容にも大きく関係しているだろう。舞台は第二次世界大戦下のアメリカの小さな漁村。小柄で“リトル・ボーイ”と呼ばれる少年ペッパーが、戦地に出征した父親を帰還させるために、願いが叶うというリストの項目を実践していく物語は、ファンタジーであり、感動の人間ドラマであると同時に、当時の日系人が受けた人種差別や戦争はもちろん、原爆(リトルボーイは原爆のニックネームである)についても描いているからだ。

 「こういう脚本は大変珍しいです。監督のアレハンドロ・モンテベルデは僕より8歳年下(1977年生まれ)で、脚本家も若い。そういう若い世代が難しい題材に挑み、セットや美術の鮮やかな色使いに、主人公は少年という映画のルックで、入り口は広くとりつつ、子供から大人まで幅広くファミリーで楽しめる作品に仕上げてくれました。少年の目を通して描いているということ、監督も脚本家もメキシコ出身というのもあると思うのですが、非常にバランスがよく第三者の視点で描くことに成功しています。作るのも配給することも、特にアメリカでは勇気がいることだったと思う。よくやってくれたなという思いでいっぱいです」

 映画の概要だけ見ると、過敏に反応してしまう人もいるかもしれない。だが、尾崎が語るように本作を観れば、いかにどちらか一方の視点に寄ることなく、戦争の理不尽さを描き切っているかがわかるはずだ。もとより、本作が伝える最大のメッセージは、「信じる勇気を持つこと」という普遍的なもの。これは、くしくも尾崎がハリウッドを目指した自らの体験をつづった著書「思いを現実にする力」(2014年)で、尾崎が伝えていることと不思議なほどリンクする。まず最初にもらった脚本の4ページに惚れ込み、トム・ウィルキンソンやエミリー・ワトソンといった大物俳優の出演も決まっていない段階で、尾崎が「絶対にこれはやりたい、やれると信じた」と語るのもうなずける。

尾崎英二郎
主人公の少年に大きな影響をもたらすマサオ・クメの伝説(C) 2014 Little Boy Production, LLC. All rights Reserved.

アラフォーの尾崎が15歳の少年に!? 前代未聞のハプニング

 オーディションが行われたのは、2011年5月のこと。日本人将校役で呼ばれた1次審査を通過した後、2次審査に臨むも、全く別の役に変更されていた。設定年齢は、なんと15歳! 普通なら無理だと思ってしまうが、尾崎は2日前に送られてきたシーンの台本を読み、マサオ・クメという役は自分自身だとシンパシーを感じたという。小柄だが「意志の力」を信じるマサオは、決してあきらめることなく強大な敵に立ち向かうという架空の伝説の人物。最終的に、マサオの年齢設定は尾崎に合わせて変更され、尾崎は役を勝ち取った。「このような作品に関われるということは、僕にとっては奇跡」と尾崎は語るが、まさに“奇跡”とは、彼が信じて、行動したことによって生まれたとも言えるだろう。

 一方で、尾崎がほぼ無名の監督、プロダクションの作品に賭けた理由には、競争の激しいハリウッドで役を勝ち抜いていく上での戦略的な視点もある。トップのキャスティング・ディレクターとして、1989年の映画『ブラック・レイン』を手掛けたダイアン・クリッテンデンの名前を見つけたとき、尾崎は「独立系の映画といってもいろいろあるが、これは絶対にいい作品になると思った」という。『ブラック・レイン』は、尾崎が交換留学生時代に観て、日本人の良さ、深みや迫力が出せる作品があるのだと知り、ハリウッドへ挑戦するきっかけにもなった作品だ。メジャーな作品のオーディションのときばかり、浮き足立って頑張ってしまう俳優も少なくない中で、尾崎は全力でオーディションに臨んだ。

尾崎英二郎
舞台挨拶で渾身の一作への思いを熱く語り、観客を魅了した尾崎

渡辺謙、真田広之らに習い、日本人の爪痕を残す使命

 そうして勝ち得たマサオの出演シーンは、実質的には4分半程度。だが、マサオにペッパーの心を動かすヒーローとしての説得力がなければ、映画の魅力は半減する上に、マサオの伝説の語り部となる日系人ハシモトの信頼性も揺らいでしまうという重責を担う役どころだ。「言葉にすると軽いが、命を賭けて演じた。緊張感や必死さを感じ取ってもらえなければ、全てが嘘になってしまうから」と尾崎は語る。さらに、次のように続けた。

 「これまで(映画やテレビドラマの)現場で、渡辺謙さんや真田広之さんら先輩方の戦い方を目の当たりにして、共演もさせていただく中で、僕らもきちんと日本人俳優として継承していかなければいけないという思いは強くあります。例えば、今日もお客さんの中には、お子さんもいらしたと聞きました。そんなふうにして、アメリカやメキシコの子供たちも家族連れで映画を観に行ってくれている。子供はピュアな目でハシモトやマサオを見て、素敵なアジア人が出ていたなと記憶してくれるかもしれない。その子たちが育って、いつか映画でも演劇でも、音楽でもいいですが、何かを作りたいと思ったときに、アジア人や日系人、日本人への偏見は、こういう作品があることでものすごく減るんじゃないかなと。だから、今作でも日本人としての存在感、リアリティーの爪痕を残すということが大事だと思って演じました」

 確かに、尾崎は日本人俳優としての爪痕を、しっかりとスクリーンに刻んでいる。本作を観れば、この言葉が決して誇張ではないことがわかるはずだ。(取材・文:今祥枝)

映画『リトル・ボーイ 小さなボクと戦争』はヒューマントラストシネマ有楽町、ユーロスペースほかで上映中


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