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沖縄戦の最前線へ武器を持たずに…メル・ギブソン、新監督作で完全復活か

第73回ベネチア国際映画祭

メル・ギブソン&アンドリュー・ガーフィールド!
メル・ギブソン&アンドリュー・ガーフィールド! - (c) la Biennale di Venezia - Foto ASAC

 現地時間4日、メル・ギブソンがメガホンを取った映画『ハックソー・リッジ(原題) / Hacksaw Ridge』の公式上映が第73回ベネチア国際映画祭で行われ、私生活でトラブル続きだったメルが汚名返上するかのように、本作で好評を得ている。メル自身、会見で監督業と俳優業のどちらが楽しいかと問われると、「監督するほうが楽しいかな」と本音を口にする場面もあった。

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 第二次世界大戦の沖縄戦を舞台に、武器に触れることすら拒み良心的兵役拒否者とみなされながらも、戦場の最前線で米陸軍衛生兵として多くの仲間の命を救った実在の人物デズモンド・ドスさんを題材に描いた本作。

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 今回、主役を務めたアンドリュー・ガーフィールドらと同映画祭の会見に登壇すると、プライベートでは人種差別発言やDVなど問題が絶えないメルに対して、「ハリウッドとの関係を一言で表すと?」と攻めの質問が飛び、メルが「みんなが使っているように……サバイバルじゃないかな!」と答える一幕もあった。

 一方で、監督作『パッション』『アポカリプト』で物議を醸しながらも、映画監督として一定の評価を得ているメルは、本作でも映画監督としての手腕を発揮。アンドリューもメルの監督っぷりについて「彼はいつもみんなにつきっきりだった。それが彼の性格なんだと思う。セットに良いお父さん、もしくは良いお母さんがいるような感じ。自然の子育て本能を兼ね備えたね」と称える。

 また、メルが「驚くべき困難な状況下で、すばらしいことを成し遂げる普通の男を描いた作品」と説明するように、スーパーヒーローではなく“ヒューマン”ヒーローを演じたことについて、アンドリューは「とても刺激的。彼こそが真のヒーローだ。僕のようにやせっぽちの男が、迫撃砲や砲弾の中、(メルのような)こんな体格の男を引きずるんだからね」と感想を口にする。

 さらに、実の兄が医者であることを紹介し、「彼は記者会見もしなければ、称賛もされない。妻と一緒に3人の美しい子供を育てて、仕事後も家庭に尽くす。それってすごく英雄的だと思うんだ。彼はヒーローにみられようとしているわけでもない。これってデズモンドのしたことと同じだ。自らの役割を全うするという意味でね」と兄への尊敬も織り交ぜつつ、主人公を表現。

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 続けざまにメルは、「本物のヒーローとコミック本のヒーローの違いは、本物は(スーパーヒーローのスーツによく使われる素材である)スパンデックスを着てないことだ」と冗談っぽく語りながらも、「戦争が嫌いだ。自ら犠牲になった戦士を愛し、彼らに敬意を示すべきだと思う。ベトナムでは多くの人々が殺された。彼らが戻って来た時、僕たちは大いに気を配るべき。彼らには愛と理解が必要なんだ。この映画でそういったことを浮き彫りにできていればいいなと思っている」と本作の意義を伝えた。(編集部・石神恵美子)

第73回ベネチア国際映画祭は現地時間9月10日まで開催

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