「エドワード・ヤンとウォン・カーウァイは真逆」チャン・チェンを育てた二大鬼監督

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8年ぶりに来日したチャン・チェン。40歳には見えない若々しさ!

 25年ぶりに日本公開された映画『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』プロモーションのため、主演俳優チャン・チェンが8年ぶりに来日。撮影当時14歳、本作がデビュー作となった彼が故エドワード・ヤン監督のスパルタ演出、『ブエノスアイレス』(1997)以来、組むことが多いウォン・カーウァイ監督との違いについて語った。

【写真】子役のころのまま美しく成長したチャン・チェン

 プロデューサーのユー・ウェイエンと俳優の父(チャン・クォチュー)が仲良かったこともあり、演技未経験ながら、本作の主演を務めることになったチャン。「僕以外も演技未経験者ばかりだったので、特に不安なく、流されるまま、クランクイン前に簡単な演技レッスンを受け、現場に行ったことを覚えています。劇中で描かれる1960年代の歴史的背景、特に外省人の集落などは世代が違うこともあり、まったく理解できませんでした。一番謎だったのは、ヒロイン・小明の性格やキャラクター(笑)」といきなり飛び込むことになった映画の世界、そして思春期ならではの当時の思いを振り返る。

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 現場でのヤン監督の印象を聞くと、「とにかく怒りっぽくて、怖かった(笑)」とひと言。「監督が書いたセリフを一文字も間違えられないし、長ゼリフの息継ぎも監督が決めた場所しかできない。何があろうと、監督の言うことは絶対だったんです」と、まさに完璧主義な性格だった監督らしいエピソードを披露。その後、『カップルズ』(1996)のときには、監督の事務所でワン・チーザン(『クーリンチェ』のワンマオ役)と手伝いをしていたそうだが、「テレビで報道番組を見ていた監督がいきなり怒り出し、ワンに向かって「今すぐテレビ局に抗議の電話をしろ!」と言ったときには、さすがに驚きました」とも。

役柄と同じ14歳だったチャン・チェン(右) (C)1991 Kailidoscope

 本人いわく「映画人としての門を開いてくれた監督と作品」との出会いを経て、現在はカーウァイなどクセモノ監督との仕事も多いチャン。「確かに『ブエノスアイレス』のロケでは僕もほかのキャスト同様、“地獄”を見ましたけど(笑)、ヤン監督とカーウァイ監督は、全然違うタイプ。ヤン監督は台本のセリフを一言一句変えちゃいけないけれど、カーウァイ監督はその台本すらない! そういう意味では両極端な監督と言ってもいいかもしれません」と語る、40歳になった彼には俳優としての貫禄も感じる。

 ちなみに、カーウァイ監督の『グランド・マスター』(2013)の役作りで始めた八極拳を極め、武術大会で優勝してしまうなど、そのストイックな姿勢は俳優の域を超えている。「中途半端なことが嫌いなだけですし、あるレベルに達すると違う道が見えてくるんです。それは最初まったく続ける気がなかった俳優業にも通じるかもしれません」と語る彼は、すでに父の存在を超えたと言えるだろう。(取材・文:くれい響)

映画『クー嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』は角川シネマ有楽町ほかにて上映中

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