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動かなくなる体、目からは血…少年によって破綻させられる家族描く『ロブスター』監督新作は残忍なコメディー

第70回カンヌ国際映画祭

この不穏な感じ… - 映画『ザ・キリング・オブ・セイクリッド・ディア(原題)』ポスタービジュアル
この不穏な感じ… - 映画『ザ・キリング・オブ・セイクリッド・ディア(原題)』ポスタービジュアル

 現地時間22日、第70回カンヌ国際映画祭で『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督とコリン・ファレルが再タッグを組んだ映画『ザ・キリング・オブ・セイクリッド・ディア(原題) / The Killing of a Sacred Deer』の会見が行われ、ダークな内容ながらランティモス監督は「本作はコメディー」だと主張した。

第70回カンヌ国際映画祭【動画・フォトギャラリー】

 あるティーンエイジャーの少年を気に掛けるようになった外科医のスティーヴン(コリン)を主人公にした本作。しかし、少年はスティーヴンに付きまとうようになるなど次第にその行動をエスカレートさせていく。時を同じくしてスティーヴンの子供たちの身に異変が起こり、体が動かなくなったかと思えば目から血を流すように……。そしてスティーヴンはある恐ろしい犠牲を払わざるを得なくなる、というストーリーだ。審査員賞に輝いた『ロブスター』に続き、コンペティション部門に出品されている。

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 ランティモス監督は本作のテーマを「犠牲というよりは、正義、選択、人間の行動について描いた。だから、犠牲はその後にくるものなんだ。そういう全てのものに疑問を提示している」と説明する。残忍な内容については「素材は残忍なものだけど、僕たちはそれを真剣に扱わなかった。撮影中、キャストに言い続けていたのは、これはコメディーだということ。僕はそう思っていると。そうした素材が軽く受け取られるように、シリアスになりすぎないように気を付けたつもり」と語った。確かにコリンの淡々とした物言いなど、恐ろしいことを話していても妙におかしく、プレス試写では笑いが起こることもしばしばだった。

 妻役のニコール・キッドマンは「そう、ヨルゴス(・ランティモス監督)はずっと言い続けていたわ。『ニコール、この映画トーンはコメディーなんだ』とね。わたしは『アー……OK』という気持ちだったけど(笑)」と明かして会場を沸かせると、「人生の今のステージでは、大胆かつオープンであろうとしている。いろいろなことに挑戦して、わたしが信じるフィルムメイカーをサポートしようとね。今でもキャリアをスタートさせた21歳のときのような気持ちで演じているわ」とリスクも引き受けて新たなチャレンジを楽しんでいると続けた。

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 今年のニコールは本作に加え、ソフィア・コッポラ監督の『ザ・ビガイルド(原題) / The Beguiled』(コンペティション部門)、ジョン・キャメロン・ミッチェル監督の『ハウ・トゥ・トーク・トゥ・ガールズ・アット・パーティーズ(原題) / How to Talk to Girls at Parties』(アウト・オブ・コンペティション部門)、テレビドラマ「トップ・オブ・ザ・レイク」の第2シーズン(スペシャルスクリーニング)と出演作4作がカンヌで上映されるなど、挑戦を恐れない彼女のキャリアは円熟の時を迎えている。(編集部・市川遥)

第70回カンヌ国際映画祭は現地時間28日まで開催

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