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工場畜産の問題を描き話題のドキュメンタリー、原作者と監督が衝撃の事実を語る

左からクリストファー・ディロン・クィン監督と作家のジョナサン・サフラン・フォア
左からクリストファー・ディロン・クィン監督と作家のジョナサン・サフラン・フォア

 ナタリー・ポートマンがナレーションを務めた話題のドキュメンタリー映画『イーティング・アニマルズ(原題) / Eating Animals』について、クリストファー・ディロン・クィン監督と、作家のジョナサン・サフラン・フォアが、6月13日(現地時間)、ニューヨークのAOL開催イベントで語った。

【作品写真】話題になった食のドキュメンタリー映画と言えばコレ!

 同作は、2009年にジョナサンが執筆した同名ノンフィクション(邦題「イーティング・アニマル-アメリカ工場式畜産の難題(ジレンマ)」)を、ドキュメンタリーとして映像化したもの。工場式畜産場での問題を提起しながら、われわれが選択するダイエットフードから、普段口にする食べ物までを見直していく。

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 原作者のジョナサンは子供を持ったことで、子供の食に関する懸念から同書を執筆したそうだ。そして、調査を進めていく中で、工場式畜産場についての問題にぶつかったという。「ある州の工場式畜産場では、映画やテレビなどの撮影が禁止されていて、撮影しようものならば、政府から環境テロリストとみなされかねないんだ。それは、(工場式畜産場には)自分たちが見ちゃいけないものがある、ということではないだろうか。例えば、ベーグルがどういう風に作られているか知りたいから、キッチンを見せてくれと言われたら、大抵の人は自分の作ったものに誇りを持っていて見せてくれるが、見せてくれないということは、現在のアメリカの肉文化は、何の信頼性もないということだと思うんだ」。

 続けて、「われわれが口にする食肉の99%は、工場式畜産場から来ているが、大抵の動物は室内で、短い時間でより大きくなるように育てられ、すぐに死なないように抗生物質なども打たれている。もちろん、一般的に農家の人々は善い人たちで、農家の職業は立派だ。そして多くの一般の人々は、農家は環境破壊をせずに、動物に対しても残酷ではなく、人が食べるヘルシーなものを提供していると思っている。けれど実際には、工場式畜産場の形態自体がとても残酷で、暴力的で、崩壊的なんだ」と嘆いた。

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 一方で、ヘルシーで健康的な食品を摂取するためには、コストがかかるのが現実だ。また、(健康的ではない工場式畜産場の)肉を食べなくなったら、多くの畜産で暮らす人々が職を失うことにもなる。「本来ならば、肉はもっと高くても良いはずなんだ。ファストフード店で99セントのバーガーでも、(そのバーガーを作るために)外部費用がかかり、税金は取られ、(動物を育てる)健康管理費も必要で、そんな費用を足していったら一つのバーガーには100ドル近くコストがかかるはずなのに、実際には、かなり安く買えてしまう。それは、(工場式畜産場の)補助金によって、人為的に支えられているからなんだ」とクィン監督。「だから、1日のうちで肉を食べる回数を減らせばいいんだ。それが、工場式畜産場のシステムを変えることにつながると思う」と提案する。

 ジョナサンも「もともと工場式畜産場自体が、できる限り人を削減しているからできたことなんだ。現在の農場も、機械やコンピューターによって作業がされ、人間がいなくて、人間らしい経済社会とは言えない。最終的には、窓もない建物に何万羽もの鶏を一緒に育てている農家が良いのか、あるいはヘルシーな食物を作ろうとする農家が良いのかということなんだ」と自説を述べた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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