警察もサポート!薬物戦争での警察の暗部を描く映画続々製作

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ブリランテ・メンドーサ監督

 先ごろスペインで開催された第66回サンセバスチャン国際映画祭で特別審査員賞を受賞したブリランテ・メンドーサ監督『アルファ、殺しの権利』が、第19回東京フィルメックスで特別招待上映される。前作『ローサは密告された』(2016)に続いて、闇深きフィリピンの薬物戦争を暴いた衝撃作だ。

『アルファ、殺しの権利』のワンシーン

 フィリピンでは2016年6月に、麻薬撲滅を掲げるロドリゴ・ドゥテルテが大統領に就任して以来、麻薬に携わる者は警官や自警団によって超法規的殺人が認められたことから、自主する者が相次ぐ一方、数千人の死者を出していると言われる。さらに実話を基にした『ローサは密告された』で描かれていたのは、警察による麻薬の横流しと保釈金の着服という腐敗した世界。麻薬撲滅がさらなる犯罪を呼び込んでいる様子がうかがえた。

主演のアレン・ディゾン。一見正義感溢れる警官だが、裏では非情な男という二面性ある役を熱演。 - Photo: Montse Castillo

 『アルファ、殺しの権利』では、またも警察の暗部をえぐる。警察官エスピーノは情報提供者を使って巨大薬物組織に踏む込み、銃撃戦の末に全員殺害。同僚たちが到着する前に遺体からドラッグを盗んで横流しをする。だが市内はフィリピン麻薬取締局(PDEA)により所持品検査が至る所で行われており容易に売買できない。そこで編み出したさまざまな受け渡し方法が披露されるのだが、これがスリリングかつダイナミックで見入ってしまうこと必至。

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サンセバスチャン国際映画祭の公式上映に参加した映画『アルファ、殺しの権利』チーム。 - Photo:Montse Castillo

 また本作は、Netflixで配信中のメンドーサ監督が手がけたドラマシリーズ「AMO 終わりなき麻薬戦争」と連動しており、役名こそ異なるがエスピーノ役のアレン・ディゾンが同じく警察官役で出演し、組織ぐるみで悪事に手を染めている事態の根深さを全13話で描いている。メンドーサ監督曰く、映画もドラマも実際に起こった事件をリサーチして脚本にし、リアルさを追究するためにスラム街などでオールロケを敢行したという。

 撮影には警察も協力していることから、サンセバスチャン国際映画祭の記者会見では、「脚本は見せたのか?」という素朴な疑問が投げかけられた。メンドーサ監督は「いや、彼らは脚本は読んでいません。でもセリフや撮影がリアルに見えるようにサポートしてくれました」と語り警察の寛大な姿勢をアピールした。

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 ただしドゥテルテ政権の麻薬対策をどう思うか? という問いに関しては「個人的な意見はあるが、映画は自分の考えを切り離して制作している」とだけ語り、言及を避けた。

 なおメンドーサ監督は第31回東京国際映画祭でコンペティション部門の審査委員長を務めている。ワールド・フォーカス部門では、監督として参加したフィリピン映画100年記念オムニバス映画『それぞれの道のり』が上映される。(取材・文:中山治美)

第19回東京フィルメックスは11月17日~25日、東京・有楽町朝日ホールほかにて開催

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