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司会者不在のアカデミー賞、女性とマイノリティーが活躍

第91回アカデミー賞

ウサギだらけドレスで衣装デザイン部門のプレゼンターを務めたメリッサ・マッカーシー
ウサギだらけドレスで衣装デザイン部門のプレゼンターを務めたメリッサ・マッカーシー - Kate Noelle / (c) A.M.P.A.S.

 終わり良ければすべて良し。第91回アカデミー賞授賞式の関係者は、今、そう胸をなで下ろしているかもしれない。30年ぶりにホストのいない授賞式は、特別素晴らしくもないとは言え無難に進行し、視聴者数も史上最低だった昨年から12%上昇したのだ。『ブラックパンサー』『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/スター誕生』など、北米興行成績が2億ドル(約220億円)を超えるヒット作が作品部門に候補入りしたことが大きな理由であるにせよ、いいニュースであることに変わりはない。(Yuki Saruwatari/猿渡由紀)

【画像】この発想はなかった!“タキシードドレス”を着こなす俳優も話題に

 オスカー授賞式はまず、前もって用意された、今年のノミネート作品にからむコメディー映像を流し、続いてホストが舞台に現れ“モノローグ”と呼ばれるひとり語り形式のコメディーをやるのが通例。ホストはまた、3時間に及ぶ授賞式の合間に何度か出てきては、笑いを取るような演出を行う。過去には、ホストが客席に降りてセレブらとセルフィーを撮ったり、それとは知らない観光客を会場に連れてきて舞台に上げて反応を見たり、お腹をすかせているであろう客席の人々に食べ物を配ったりなどした。だが、それらは、それほどおかしくもない上、どうしても“内輪ウケ”の感が否めない。ただでさえ超過しがちな放映時間をさらに長くするという弊害もあった。

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レディー・ガガ、ブラッドリー・クーパー
「Shallow」を熱唱するレディー・ガガ&ブラッドリー・クーパー - Aaron Poole / (c) A.M.P.A.S.

 ホストのいない今年は、その部分を、音楽パフォーマンスを増やすことで穴埋めしている。オープニングでは、クイーンのブライアン・メイロジャー・テイラー、そしてフレディ・マーキュリーの代わりにボーカルを務めるアダム・ランバートが、「We Will Rock You」と「We Are the Champions」を演奏。ほかに、レディー・ガガブラッドリー・クーパーが『アリー』から「Shallow」、ジェニファー・ハドソンが『RBG 最強の85才』のテーマソング「I’ll Fight」、ベット・ミドラーが映画主演のエミリー・ブラントに代わって『メリー・ポピンズ リターンズ』の「幸せのありか」を熱唱した。

 そんなまるでグラミー賞かとも思えるような展開の中、笑いを提供してくれたのは女性コメディアンだ。とりわけ素晴らしかったのが、最初のプレゼンターを務めたティナ・フェイエイミー・ポーラーマーヤ・ルドルフの3人組。フェイが「私たちはホストではありません。が、ここに長く立っていれば、明日の新聞には、私たちがホストだったと書いてもらえるかもしれません」と言うと、ルドルフは「まず、皆さんの誤解を解いておきましょうか。今晩は、ホストがいません。(一時、アカデミーが新設を検討したが却下した)『人気映画部門』もありません。それと、メキシコは壁の費用を払いません」と続ける。さすが「サタデー・ナイト・ライブ」のレギュラーを務めてきただけある3人で、なぜ彼女らをホストにすることはできなかったのか、疑問に思ってしまう。

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 メリッサ・マッカーシーも負けていない。衣装デザイン部門のプレゼンターを務めるにあたり、彼女は、『女王陛下のお気に入り』のアン女王をまね、ウサギがたくさんついたドレスを着て現れたのだ。そして、実際の映画でアン女王を演じたオリヴィア・コールマンは、主演女優賞を受賞した直後、素直なユーモアにあふれる、最も心に残るスピーチをしてくれている。

ラミ・マレック、オリヴィア・コールマン、レジーナ・キング、マハーシャラ・アリ
演技部門で受賞したラミ・マレック、オリヴィア・コールマン、レジーナ・キング、マハーシャラ・アリ - Mike Baker / (c) A.M.P.A.S.

 そんなふうに女性が活躍した授賞式だったが、マイノリティーの存在感も際立った。全ての部門を見渡すと、演技部門の4人中3人が非白人であることを筆頭に、今年の受賞者はいつもに比べて非常にマイノリティーが多いのだ。2年連続で演技部門の候補者20人全員が白人だったことから「#OscarsSoWhite」が大爆発したのは3年前のこと。以後、アカデミーは多様化に取り組んできたが、その成果にしろ、単なる偶然にしろ、今年は過去より明らかに前進したと言える。そう考えれば、100点満点にはほど遠いが、まあまあ合格点の授賞式だったと言ってもいいのではないか。

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