主演男優の死から全書き直し ガス・ヴァン・サント、20年越しの入魂作語る

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『ドント・ウォーリー』メイキングより:ホアキン・フェニックス(左)とガス・ヴァン・サント監督(右)

 約23年ぶりにホアキン・フェニックスとタッグを組み、新作『ドント・ウォーリー』(5月3日公開)を発表した名匠ガス・ヴァン・サントが来日。故ロビン・ウィリアムズから持ち込まれた企画が20年以上かかってようやく実現した紆余曲折や、ホアキンや彼の兄である故リヴァー・フェニックスについて語った。

【動画】風刺漫画家ジョン・キャラハンの破天荒な人生『ドント・ウォーリー』予告編

 『ドント・ウォーリー』は交通事故で四肢麻痺になった風刺漫画家ジョン・キャラハンの伝記映画。キャラハンは皮肉たっぷりのユーモアで、2010年に59歳で亡くなるまで人気を博した人物で、最初に企画を持ち込んだのはキャラハンのファンだったというロビン・ウィリアムズだった。

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 「ちょうどロビンも出演した『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)を作っていた頃に、ロビンがキャラハンを演じたくて彼の自伝の映画権を買ったんだ」とヴァン・サントは振り返る。「キャラハンと僕はどちらもポートランド在住で、アーティストが集まる同じ界隈にいたから、ロビンは僕が適任だと思ったんだと思う。脚本にまとめて欲しいと頼まれて数パターンの脚本を書いて、そこから先は何の動きもなかった。この業界ではよくあることだけど、キャラハンは『実現する前に俺たちが死んじまうぞ』ってジョークを言っていたよ」

約10年ぶりに来日したガス・ヴァン・サント監督

 ところがロビンが2014年に亡くなったことで、忘れられていた企画が再浮上することになる。「ロビンのために権利を保持していたソニー・ピクチャーズから電話があって、この企画を進めることに興味はないかと聞かれたんだ。僕は、キャラハンがアルコール依存症と闘った一時期に焦点を絞るアイデアを思いついた。でもソニーからは却下されてね。そこから本気になってあちこちに企画を持ち込んだら、amazon studios(アマゾン・スタジオ)が手を挙げてくれてようやく実現したんだよ」

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 最初の脚本はロビンが主演することを想定していたため、まったくゼロから書き直したという。そして偏屈だが魅力的なキャラハンを演じるのに最適な人物として浮上したのが、旧知の仲であるホアキン・フェニックスだった。「ホアキンの兄のリヴァー・フェニックスとは『マイ・プライベート・アイダホ』(1991)で組んで、一緒に来日したこともあった。本当に素晴らしい役者で、素晴らしい友人だった。その後、まだ二十歳だったホアキンを1995年の『誘う女』で起用した。以来、ずっと連絡を取り合っていたんだ」

メイキング2:ヴァン・サント監督&ホアキン

 ニューヨークのバーで、ホアキンやケイシー・アフレック、ロビンと飲み明かしたこともあったというヴァン・サント監督。「ホアキンとはお互いをよく知っているし、目と目で伝えられるものがあると思っている。ホアキンとリヴァーは違うタイプの俳優だけど、どちらも自分なりのやり方を持っていて、とても深く役に入り込む。そして誰よりも仕事に没頭するんだ」

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 ヴァン・サントが驚いたのは、ホアキンが何時間にもわたって脚本について質問をぶつけてきたことだった。「かなり強烈な時間だったけど、監督のやりたいことを知ることで、彼は自分の演技だけでなく、映画全体を正しい方向に導こうとしてくれるんだ。彼自身を追い込むと同時に、監督としても作品にとってもすごく助けられる。彼はどの映画でもそうやっているのかもしれないけれど、僕の経験からするととても珍しいことだと思う」

 ホアキンの貢献を絶賛するヴァン・サント監督だが、ホアキンの演技からまったく想定していなかった要素も発見したという。「ホアキンとは、ジョン・キャラハン本人にどこまで似せるかについても話し合った。ジョンはとても特徴的な声の持ち主で、録音したものもあった。でもホアキンには、伝記映画だからといって無理にそっくりに演じる必要はない、自分で一番自然だと思うバランスを見つけてくれればいいと伝えたんだ。するとなぜか、ホアキンが演じるジョンは、ケイシー(アフレック)に似ているんだよね(笑)。意図的だったのか、彼らが近しい友人同士だからなのかはわからない。でも、演技のあちこちにケイシーのクセを感じるんだよ」と、当代きっての演技派であるホアキンの奇妙な役作りを明かした。(取材・文:村山章)

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