黒澤明、小津安二郎…カンヌ受賞のカザフスタン人女優、好きな映画話止まらず

日本・カザフスタン合作映画『オルジャスの白い馬』より主演のサマル・イェスリャーモワと森山未來
日本・カザフスタン合作映画『オルジャスの白い馬』より主演のサマル・イェスリャーモワと森山未來

 日本・カザフスタン合作映画『オルジャスの白い馬』(1月18日公開)で森山未來とダブル主演を務めたカザフスタン人女優サマル・イェスリャーモワ(35)。2018年の映画『アイカ(原題)』(2018)で、2作目にしてカンヌ国際映画祭女優賞を受賞。日本ともゆかりのある彼女が、森山との共演から約12年のキャリア、女優としてのスタンスなどを語った。

【動画】森山未來と共演『オルジャスの白い馬』予告編

 スクリーンデビュー作『トルパン』(2008)が第21回東京国際映画祭で東京サクラグランプリ(最高賞)を受賞、主演第2作『アイカ(原題)』(2018)が第19回東京フィルメックス最優秀作品賞を受賞するなど、日本の映画祭でも高い評価を受けるサマル。3作目となる『オルジャスの白い馬』では、夫に先立たれ3人の幼い子供たちを抱えながら、この突然の悲劇を乗り越えようとする女性アイグリを演じている。森山が、そんな彼女の元にふらりと現れる謎めいた男カイラートにふんし、橋本環奈主演のスリラー『シグナル100』(1月24日公開)も話題の竹葉リサが、カザフスタン人監督エルラン・ヌルムハンベトフと共にメガホンをとった。

[PR]

 全編カザフスタン語に臨んだ森山の演技について「初日から素晴らしいと感じた」と評するサマル。「わたしは森山さんより遅く現場に入ったこともあって、撮影前に2人で向き合う時間があまりなかったのですが、ちょっとリハーサルをしたときに森山さんが真摯に役作りにこだわって考えていらっしゃるのがわかって。彼が、いい演技ができる人だと直感しました。最初にご一緒に撮影したのが、アイグリとカイラートが長い年月を経て再会する難しいシーンだったのですが、この時から気持ちが通じ合ったように思います」

サマル・イェスリャーモワ
昨年11月に行われた第20回東京フィルメックスで来日したサマル・イェスリャーモワ

 並外れた演技力を持ちながら日本ではまだ名前を知られていないサマルだが、女優になるためにどのような道を歩んできたのか。デビュー前から今日に至るまでを以下のように振り返る。「初めはカザフスタンの演技専門学校で学び、『トルパン』でデビューしました。その後、キャリアアップするためにモスクワの大学で演技を学びました。大学ではまず役作りとは何かを勉強しました。演じるためにどんな準備が必要なのかを研究して考えて、気持ちを整えるんです。その経験は、2作目の『アイカ』の撮影でとても役に立ったと思います」と振り返る。中でも、大学の演技講師が放った一言が今もなお自身の支えになっているという。

[PR]

 「入学したばかりの時にある先生から『役者というのは難しい職業だ。これからつらい道を歩むことになるから、やめるならいまのうちだ』と。その言葉をずっと覚えていて、仕事で試練にぶつかったときにも『役者はつらいものなのだから』と自分に言い聞かせ、こらえてきました」

 女優として約12年を経た現在、サマルにとって最も重要なことは「成功」だときっぱり。「わたしにとって成功というのは映画祭で受賞することやギャランティーではなくて、前の作品よりもさらに難しい役を与えられること」と意図を語り、今後もメッセージ性の強い、信頼のある監督と仕事をしていきたいと力をこめる。

 ちなみに、「好きな映画」の話題になると相当なシネフィル(映画通)のようで、目を輝かせてワールドワイドに次から次へとタイトルを挙げる。「最近はイラン映画をよく観ていて、アッバス・キアロスタミの『オリーブの林をぬけて』(1994)、アスガー・ファルハディの『別離』(2011)。それに(ハンガリーの)ネメシュ・ラースローの『サウルの息子』(2015)、(中国の)チャン・イーモウの『秋菊の物語』(1992)、『上海ルージュ』(1995)も」と止まらず、日本の名画も飛び出した。「黒澤明監督の『羅生門』(1950)など日本映画も好きなんです。溝口健二監督の『雨月物語』(1953)もファンタジック、ミステリアスな作品で素晴らしい。特に好きなのは、小津安二郎監督の『東京物語』(1953)。淡々とした作風なんだけれどわかりやすいですし、登場人物たちの気持ちはどの国の人にも理解されるのではないかと思います」(編集部・石井百合子)

» 動画の詳細
  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア

楽天市場

[PR]