『1917 命をかけた伝令』驚異の“全編ワンカット映像”はこうして生まれた!

異次元の没入感! - 映画『1917 命をかけた伝令』より
異次元の没入感! - 映画『1917 命をかけた伝令』より - (C) 2019 Universal Pictures and Storyteller Distribution Co., LLC. All Rights Reserved.

 第92回アカデミー賞で3冠に輝いた映画『1917 命をかけた伝令』は、第1次世界大戦時、1,600名もの命がかかった伝令を携え、タイムリミットが迫る中、たった二人で危険な戦場を駆け抜けていく若きイギリス兵の姿を描いている。本作を傑出したものにしているのは、上映時間119分がワンショットに見えるように撮影されたことで生まれた異次元の没入感だ。この“全編ワンカット映像”はどのようにして作り出されたのか、サム・メンデス監督、撮影監督ロジャー・ディーキンス、主演のジョージ・マッケイディーン=チャールズ・チャップマンのインタビューからひもといていこう。

【動画】驚愕の“ワンショット撮影”!『1917』メイキング映像

 本作はメンデス監督の祖父の体験談が大まかに基になっており、監督は観客と登場人物の間に一体感を生み、時間が押し迫るスリラーの効果を出すために、リアルタイムで進行するワンショットの作品にすることを決めたという。通常の映画のように場面転換ができないため、Googleマップとにらめっこしながら二人の旅路を決め、“継続するワンカット”として読むことができる脚本を執筆。それに加えて、その日の全員の動きを示す地図のような脚本──キャラクターが辿るルートや、カメラその他機材のルートが描かれたもの──も作られた。

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 撮影監督のディーキンスは「何もない更地に目印を付けて、土砂降りの雨の中でリハーサルを始めたんだが、それは我々がやろうとしていることが一体どんな感じになるのかを把握するためだった。そこから徐々に構築していって目指すショットに焦点を絞り、塹壕の長さ、それがいかにくねくねと続いていくかといった構造を決めていった」と初期のリハーサルについて振り返る。セリフを言うのに必要な時間・距離といったことまで緻密に決め、それに基づいてセットを建てていったほか、機材についてもあらかじめ全て計画しておき、半年にわたって俳優たちと全てのショットのリハーサルを徹底的に行った。

 スコフィールド役のジョージは「撮影初日に現場に行って『こういうステップとなる』と説明されるわけではなく、全て皆で一緒に考えたものなんだ。僕たちが持っている全てのアイデアを出し、サムやロジャー(監督と撮影監督)と共にそれらを洗練されたものにしていった」と説明。ブレイク役ディーンも「撮影が始まる頃には、無意識のうちにステップがわかっていた」と言い、彼らには“地図のような脚本”は必要なかったのだという。

 長回しの撮影は最長で9分ほどで、全てを15~40テイクもやることになったため、肉体的にもかなり過酷なものだったのこと。ジョージは「だけどそれを撮影する人たちもまた、全く同じ状況だった。僕たちの荷物よりもずっと重い機材を担いでいたのに、彼らのことは誰も見てくれないんだ」と陰のヒーローたちをいたわり、ディーンは「上手くショットを押さえることができると、誰もがPKを決めたかのように両手を上げて大喜びしていた。最高だったよ」とクルーとの一体感を明かしている。

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 舞台はほぼ全てが屋外ということも、撮影の難易度を上げた。太陽や雲の位置が違うとショットのつながりが失われるため、曇り空の時しか撮影できなかったほか、キャラクターが塹壕に走って入って360度見渡したりするため、照明を置くこともできなかった。夜の場面で明かりとなるのは照明弾のみで、セットの模型を使って影の動きを確認し、そのシーンのために照明弾の光が何秒間必要かといったことまで計算され尽くされている。

 「カメラ、キャラクター、風景という常に動き続ける3つの要素のダンスというのが、本作における映画の言語だった」と語るメンデス監督。観る者を戦場のど真ん中に放り込まれたかのように感じさせる本作は、全身全霊をかけたキャスト&クルーの完全なる共同作業の末に生まれていた。(編集部・市川遥)

映画『1917 命をかけた伝令』は公開中

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