ミニシアターが未曾有の危機…現状をアップリンク代表が明かす

いま、映画館が危機に瀕している(※画像はイメージです)
いま、映画館が危機に瀕している(※画像はイメージです) - iStock / Getty Images

 新型コロナウイルスの感染拡大にともない、ミニシアター、そして映画文化が存続の危機に瀕している。渋谷と吉祥寺にミニシアターを展開するアップリンクの浅井隆代表がメールインタビューに応え、厳しい現状を明かした。

未曾有の危機に陥った映画業界

 4月7日、政府は7都府県に対して緊急事態宣言を出した。多くの映画館は2月下旬~3月初旬頃から座席間隔を空けてのチケット販売や営業時間の短縮、週末の営業休止といった外出自粛要請への対応をしながらも上映を続けてきたが、今回の緊急事態宣言によって5月6日までの間、休業せざるを得ない状況になっている。

 アップリンクも、渋谷と吉祥寺ともに4月8日から当面の間は臨時休館することになった。浅井代表は「映画館の売り上げが最低1か月はゼロになるので、売り上げがなくてでもかかってしまう家賃と借入金の返済とリース料、そしてスタッフに対する休業補償の現金をどう捻出するかが問題です」と頭を悩ませる。すでに融資を申し込んだが、政府による明確な経済的補償は現状みえてこず、この危機を乗り越えられるのか不安は尽きない。

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 「他の業界も同様ですが、未曾有の危機だと思います。特にこの1か月というのは、一年で業界的に一番売り上げが上がるゴールデンウィークにかかるので、12分の1の売り上げが落ちる計算ではなく、3月からの売り上げ減少を考えると、3分の1位売上が減るのではないでしょうか」

 また、国と東京都との間で理髪店やホームセンターも休業要請の対象になるかどうかについて食い違いが生じ、8日に行われた7都府県の知事とのテレビ会議で西村康稔経済再生担当相はミゾ修正への理解を求めていたが、国民の間ではしっかりと連携のとれていない様子に戸惑いが広がっている。こうした状況に、浅井代表も「首都東京は、都と国の意見が噛み合っていないのをさらけ出しているので、緊急時ほど1本化してほしい。緊急事態宣言後は都道府県の長に任せるのがいいと思います」ともどかしさを明かす。

映画文化のため、今できることは?

アップリンク・クラウド
オンラインの映画館「アップリンク・クラウド」ラインナップ

 そんな危機的状況のなか、アップリンクは独自の取り組みをはじめている。アップリンク配給作品60本以上が3か月2,980円で見放題になるサービスでは、オンライン映画館「アップリンク・クラウド」で作品を鑑賞することができる。通常プランは3か月2,980円だが、寄付が付いたプラン(5,000円コース、10,000円コース)で支援することも可能。また、安心できる状態になった時に映画館で映画を観ることのできる特典付き回数券(商品は6月初旬以降より発送)の発売も行っている。

 さらに、今後は4月24日公開予定だった『ホドロフスキーのサイコマジック』のオンライン上映を行い、作品の売り上げの一部を上映予定である全国の映画館とシェアするプロジェクトも企画しているという。

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 自社配給作品を持つアップリンクでさえこのような危機的状況に陥っていることから、このまま休業状態が続けば、閉館に追い込まれるミニシアターが出てくることは避けられない。

 いま映画業界や映画ファンの間ではミニシアター存続のための運動が広がっている。

 俳優の井浦新入江悠監督が呼びかけ人に名を連ねている「SAVE THE CINEMA『ミニシアターを救え!』プロジェクト」では、ミニシアターの存続のための賛同者の募集を行っている。こちらでは、政府への要望書提出、クラウドファンディングなどを活用した具体的な施策を断続的に実施していく予定だ。

 関西地方では、京阪神のミニシアター13館を支援する「Save our local cinemas」プロジェクトが発足し、関西劇場応援Tシャツの販売や支援の呼びかけが行われている。

 邦画やハリウッドの大作だけでなく、古今東西さまざまな作品が日本で鑑賞できるのはミニシアターが存在しているからだ。また、若い監督の登竜門としてミニシアターはなくてはならないものだ。ミニシアターがなくなることは、日本映画の根幹が揺るぐといっても過言ではない。映画文化の多様性が失われないためには、この厳しい状況を乗り越えるだけでなく、その先の持続した応援も必要となってくる。今はできる範囲のことを行い、安全な状況になったときに映画館に足を運ぶことが、未来の映画文化を守ることにつながるのだ。(編集部・吉田唯)

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