実力派!伊藤沙莉の演技が光った映画5選

伊藤沙莉(2016年に撮影)
伊藤沙莉(2016年に撮影)

 光源氏くんとの生活が楽しければ楽しいほど、せつない……。ドラマ「いいね!光源氏くん」(NHK総合)で、現代に出現した光源氏(千葉雄大)をヒモ同然で住まわせることになった“こじらせ女子”、沙織の戸惑いと恋心を見事に演じ切った、女優・伊藤沙莉。光くんがあんなにもかわいらしい存在として輝いていたのも、沙織とのにぎやかなやり取りがあったから。また次元の違う相手に恋してしまった沙織のいじらしさに、涙した人も多いはず。伊藤のコメディエンヌぶりと唯一無二の女優力に、改めて驚かされた。どんな役にも命を吹き込み、見る者の心をがっちりとつかんでしまう伊藤。彼女の演技が光った映画、5選をお届け!(文 ・成田おり枝)

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『全員、片想い』(2016)

 片想いをテーマに投稿小説を募集し、選ばれた電子小説4本と映画オリジナル・ストーリー4本を映画化した短編オムニバス・ラブストーリー。伊藤は1本目の短編『MY NICKNAME is BUTATCHI』で主演を務め、幼なじみのサタケ(中川大志)に恋する女子高生、ノムラを生き生きと演じた。ノムラの大あくびから幕を開けるが、その表情の豊かさに思わずニヤリ。ちょっとガニ股気味に自転車をこぐ姿も面白く、観客はあっという間にノムラが好きになるはず。日々憎まれ口を叩き合いながら、自転車通学する2人。「夏の思い出がほしい」(サタケ)、「TUBEでも聴いてろや!」(ノムラ)といった会話のラリーがなんとも気持ちよく、このリズム感のよさは、彼女の大きな武器。しかしながらタイトル通り、ノムラの恋は片想い……。せつない思いを隠して笑おうとするノムラが、なんとも健気! ありがちなストーリーではありながら、伊藤の好演が本作をスペシャルなものにしている。また別の短編『あさはんのゆげ』には千葉雄大も出演しており、伊藤と千葉の共演シーンはないものの、「いいね!光源氏くん」ファンにはうれしい1本。

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『獣道』(2017)

 社会の底辺をさまよう若者たちが、居場所を求めてもがく姿を描いた青春ブラックコメ ディー。『下衆の愛』の内田英治が監督を務め、実話を基に脚本も担当した。伊藤が演じたのは、宗教団体を渡り歩く母親によって入れられた宗教施設で7年間を過ごした愛衣。宗教施設、ヤンキーの溜まり場、サラリーマン家庭、風俗と、自分の居場所を探してさまよう愛衣だが、その場、その場で愛されようと、ファッションや話し方も変化させていく。清楚な白ワンピだったかと思えば、金髪&豹柄ジャージに身を包むなど愛衣の変身ぶりに驚くが、そのすべてが彼女のヒリヒリとした痛みとして伝わってくるのがスゴイ! 映画を観終わったあとも、「愛衣、どうしているかなあ……」と考えてしまうほどで、突拍子もないと思える役柄にも血を通わせてしまう伊藤の本領発揮といったところ。大胆さと度胸も要する役どころで、でんでん広田レオナら超個性派俳優たちの中で、須賀健太と共に堂々と主演を果たした。

『パンとバスと2度目のハツコイ』(2017)

 今泉力哉監督がメガホンをとり、元乃木坂46深川麻衣が主演を務めた恋愛群像劇。元彼とサヨナラしたふみ(深川)と、別れた奥さんのことを今でも想い続けているたもつ(山下健二郎)が織りなす物語で、伊藤は、ふみの同級生だったさとみにふんした。今や主婦となったさとみだが、中学時代にはふみに愛の告白をした過去が。同性に恋をし、その思いをどこかに秘めながらも、充実した結婚生活を送る女性というのは、考えてみてもとても難しい役。しかし、ランチビールを楽しむ笑顔、息子の口元を拭く仕草、結婚後の近況報告など、伊藤が見せる主婦としての会話や仕草はなんともナチュラル。「私、今でもふみのこと好きだなって思う」と大胆な告白をしているにもかかわらず、その照れたような笑顔がキュートで、ごくごく自然なこととして受け入れられる。それも伊藤の作り上げたキャラクターが、きちんと立体的な人物になっているからこそ!

『寝ても覚めても』(2018)

 第32回野間文芸新人賞に輝いた柴崎友香の小説を、東出昌大唐田えりかで映画化したラブストーリー。突然行方をくらました恋人・麦を忘れられずにいる女性・朝子が、彼とうり二つの男性・亮平と出会って揺れ動くさまを追う。名バイプレーヤーとして確かな存在感を発揮した伊藤。演じた春代は、朝子の友人で、麦に惹かれていく朝子に「あれは、一番あかんタイプや。泣かされるのが目に見えとる」と麦の危険な香りをいち早く察知し、注意喚起する関西弁女子だ。朝子を励ましたり、茶化したりと、春代が出てくるとパッと画面が明るくなるよう。麦の不穏さ、どうしようもない恋心に流されそうになる朝子など、ヤキモキとさせられる場面が続く中、春代の笑い声が響くとなんだかホッとする…! また本作に加え、『パンとバスと2度目のハツコイ』『榎田貿易堂』『blank13』の演技で「第10回TAMA映画賞」では最優秀新進女優賞を受賞。「今に至るまでの15年間は決して楽しいだけではなく、悔しいことも、傷つくこともたくさんあった」とキャリアを振り返り、「お芝居が大好き」と涙を浮かべていた。その苦労は今、人気女優として花開いている。

『ペット2』(2019)

 ペットたちの日常をユーモラスに描いたアニメーション映画の続編。そのハスキーボイスも魅力的な伊藤が、日本語吹き替え版で声優に初挑戦。囚われの身になった友だちのために正義感を燃やす、負けん気の強いシーズーのデイジー役を演じた。デイジーの見た目がかわいらしいために「私で大丈夫かな」と心配したそうだが、面白いほどにマッチ! 「人の話聞いてる?」とウサギのスノーボールに鋭くツッコんだり、オオカミに「口を出すんじゃねえよ!」と喧嘩越しになったりと、躍動感たっぷりにデイジーを表現した。声だけでも会話のテンポを作り出すのがうまいとは、恐れ入る。その後はテレビアニメ「映像研には手を出すな!」で演じた主人公の浅草役も話題となり、原作ファンからも絶賛された伊藤。ハスキーボイスをコンプレックスに感じていた時期もあったそうだが、今では自身の武器として考えているそう。声でも人々を魅了している彼女の、声優業第一歩をぜひチェックしてほしい。

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