厚木拓郎×細山田隆人×細田善彦、大林宣彦監督の遺作で衝撃体験

『海辺の映画館-キネマの玉手箱』より。左から細田善彦、厚木拓郎、細山田隆人
『海辺の映画館-キネマの玉手箱』より。左から細田善彦、厚木拓郎、細山田隆人 - (C) 2020「海辺の映画館-キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

 今年4月に亡くなった大林宣彦監督の遺作となった新作映画『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(上映中)で3人の主人公を演じた厚木拓郎細山田隆人細田善彦が7月30日にオンラインで行われたシネマトゥデイ・ライブに出演し、即興演出満載のイマジネーション豊かな撮影現場を振り返った。本作は当初、4月10日に公開を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で約3か月半を経ての公開となった。細山田いわく、本作は「映画を愛する大林監督の脳内を全て映し出した作品」だという。

【動画】厚木拓郎×細山田隆人×細田善彦シネマトゥデイ・ライブ

 本作は、『転校生』(1982)『時をかける少女』(1983)『さびしんぼう』(1985)の“尾道三部作”などで知られる大林監督が、約20年ぶりに故郷・尾道(広島)で撮影した記念すべき作品。閉館を迎える映画館でオールナイトで行われた戦争映画特集に観客としてやってきた若者3人(厚木・細山田・細田)が、スクリーンの中にトリップし、戊辰戦争、日中戦争、太平洋戦争など戦争の歴史を体験していく。

[PR]

 厚木は『マヌケ先生』(1998)、『あの、夏の日 ~とんでろ じいちゃん~』(1999)など、細山田は『なごり雪』(2002)、『理由』(2004)など大林作品の常連俳優。細田は、本作が初参加。厚木は映画好きの青年・馬場毬男、細山田は歴史好きの鳥鳳介、細田はヤクザにあこがれている団茂にふんしており、3名のキャラクターは大林監督のいわば分身のような存在でもある。

完成形が想像できない自由な撮影

海辺の映画館
ミュージカルシーンも!

 撮影が始まったのは、ちょうど2年前の夏。本作は無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルなど変幻自在にかたちを変えて進行していくが、撮影現場でも台本はあってないようなもので、3人とも完成形はまるで想像がつかなかったという。厚木は、台本にはなかったユニークなワンシーンを挙げる。「大林監督は後半、『どこかに入れる』シーンの追撮をよくされて、ある時『ターザンを撮る』という噂が流れて(笑)。ご覧いただければわかると思うんですけど、僕が背中まで髪が伸びているターザンに変身し、ジャングルの中『アーアアー』と雄たけびを上げるシーンがあって。倉庫のグリーンバックで撮影し、背景は『この後、どこかに撮りに行く』とおっしゃっていて。ちょうどその時に山田洋次監督が見学にいらっしゃっていて、帰り際に『きわめてユニークな監督』という言葉を残していきました(笑)」

 細山田は「台本はあるんですけど監督がその場によってどんどん考えが変わっていく、進化していくという感じでしょうか。『ちょっと細山田くん来てくれる』と呼ばれると『あ、また何かあるな』という。ですからあまり『こうやろう』と頭の中で考えないで、役のことだけ考えて、その場で指示されたことを瞬間的に理解して咀嚼できるのかという。だから初参加の細田君は特に大変だったんじゃないかな?」と自由な現場を振り返り、細田に話を向ける。

[PR]

 細田をとりわけ驚かせたのが、終盤に若者3人が、歴史上では亡くなっている移動劇団「桜隊」を広島から脱出さようと動くシーン。「びっくりしたことは山ほどあるんですけど、あのシーンは役者の配置だけ指示されてリハーサルもなしでいきなり本番だったんです。役者同士でセリフを合わせたりするのを監督があまり好まなかったようで、ライブ感を大事にされているというか。本番直前で監督が耳元でセリフを変更されることもよくありましたし、1シーン1シーン監督の演出を楽しんだという感じでした。『人生一度きりだ、よーいスタート!』とよくおっしゃっていたんですけど、一度目に出る役者のパワーを映像に残そうとされていたのが印象的でした」と細田は振り返る。

今、この作品を届けることの意義

海辺の映画館
多彩な映像表現で戦争の歴史が描かれる

 晩年は『この空の花 長岡花火物語』(2012)、『野のなななのか』(2014)、『花筐/HANAGATAMI』(2017)など、反戦メッセージの色濃い作品を多く手掛けた大林監督。本作にもまた悲劇を繰り返したくないという思いが込められているが、3人はどのように受け止めているのか。監督との対話を思い出しながら、それぞれ以下のように語っている。

 「これから戦争を体験されている映画監督が、戦争映画を撮る機会が少なくなっていくと思うので、この映画に参加できてよかったですし、監督から当時の話をたくさん聞けたのもよかったです」(細田)、「監督は今、この世の中が、自身が体験した戦争の前日のにおいがすると話されていました。『またそういう空気になっているけど、みんなどうするんだ?』ということをおっしゃっていたので、その空気が伝わるように発信したいという思いをもって撮影に臨みました」(細山田)、「今、この作品を作る意義というのを丁寧に教えてくださいました。いつくるかわからないということ、というのは歴史から学べる。戦争で何が起きていたのかというのを今後の知識として知っておきたい、そういう注目があるのではないかと。だからこそ今やらなければ、と」(厚木)。

[PR]

 ライブではそのほか、高橋幸宏浅野忠信成海璃子山崎紘菜常盤貴子ら共演者のエピソードや、大林監督の出演シーンなどにも及び、“大林監督最後の作品”の魅力を思い思いに訴えていた。

海辺の映画館
舞台は宇宙にも飛び出す……!写真は高橋幸宏

 本作は7月31日より全国17館で公開され、TOHOシネマズシャンテでは土曜全回、TOHOシネマズ新宿では土日の8回中6回が満席に。2日までの3日間で4,012人動員、興収収入513万1,320円を記録し、今後、全国69館での拡大公開が決定している。(編集部・石井百合子)

» 動画の詳細
  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア

楽天市場

[PR]