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難役に挑む芳根京子、人生最初にして最大の決断は?

芳根京子、人生最初にして最大の決断は?
芳根京子、人生最初にして最大の決断は?

 『愚行録』『蜜蜂と遠雷』などの石川慶が監督を務めた映画『Arc アーク』(6月25日)で、7年ぶりの単独映画主演を務めた芳根京子。そう遠くない未来を舞台に、17歳から100歳以上にわたる人生を若い身体のまま生き続ける主人公という難役に挑んだ芳根が、思い出の地で撮影や主演としての思い、人生で下した最大の決断などについて率直に語った。

芳根京子が永遠の命を得る初めての女性に!『Arc アーク』予告編【動画】

 本作は、日本でも「紙の動物園」などが高い人気を誇るSF作家ケン・リュウの短篇小説「円弧(アーク)」をもとに、ストップエイジングが現実となった近未来で初めて永遠の命を得た女性の半生を描く物語。芳根は17歳から100歳以上にわたる人生を生き抜く、永遠の命を手に入れた世界初の女性・リナを演じた。

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知っていたからこそ生まれた怖さ

 役を通じて主人公の半生を生きるといえば、ヒロインを演じた連続テレビ小説「べっぴんさん」(2016年度後期)を思い出す。芳根自身は朝ドラとは大きく異なるというが、「別物とは知っていても、歳をとっていくという経験がどれだけ大変か、知っていたからこそ怖かった」ともいう。「朝ドラは1年の撮影で、半年かけて放送されるので観ている方も付いてきてくださるのですが、今回は2時間の映画で表現しなくてはいけない。そのうえで見た目は変化しない。そこは難しかったけれど楽しかったです」

Arc アーク
(C) 2021映画『Arc』製作委員会

 物語は、遺体を生前の姿のまま保存する「プラスティネーション」の技術が一般化した近未来が舞台。芳根が演じるリナは「ボディワークス」を作るという仕事に就くことになるが、不老不死という永遠のテーマを扱った壮大な物語が展開していく。「はじめ脚本を読ませていただいて、すごくおもしろいと思ったのですが、それが逆に怖くて、自分には力不足だと感じて『私には難しいと思います』とお話ししたんです。ただ、石川監督が私のことを受け止めて『一緒に頑張りましょう。自分が思う一番のチームを作りました』と言ってくださった。俳優という仕事は必要とされないとできない仕事ですし、こんなにも真っすぐにアプローチしてくださることがうれしくて『石川監督となら一緒にできるかも』と私の中でぴょこっと芽生えたんです」

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 「その芽にみなさんが水と光をあげてくれて大きくなりました。石川さんの人柄もあって、のびのびとやらせてもらえた愛おしいアットホームな現場でした。実際、文字で読んでもわからない部分がたくさんあって、色が変なハンバーガーなど不思議なものが出て来るのですが、実際にどう撮るんだろうと(笑)。役としても未知な部分が多かったので、現場で監督と二人三脚で同じ歩幅で歩かせていただきました。リナは私一人で作れた役ではなかったです」

思い出の地でのロケ撮影

 最近では映画『ファーストラヴ』やドラマ「コントが始まる」「半径5メートル」などでも話題を呼んでいる芳根。『Arc アーク』は単独主演映画としては7年ぶりとなるが、芳根自身は「私としてはやるべきことはただ一つ、役を生きるということだと思っています」と冷静だ。「作品と出会うことは運命、ご縁だと思います。選んでいただく立場なので、このタイミングでこの役が来るんだなと。何よりこれからも刺激になる役と出会いたいなと思います。今回の役も想像していなかった役なので、役と出会えた喜びを感じました。人生を豊かにしてくれる作品に出会える喜びを知ってしまったので、またこんな感覚を味わいたいなと思っています」という。

Arc アーク
(C) 2021映画『Arc』製作委員会

 そして主演についても持論がある。「主演=現場にずっといる人だと思っているんです。一番長く現場にいるので、楽しくなるといいなとたくさんコミュニケーションをとりたいと思っています。主演であればスタッフさんともたくさんコミュニケーションをとれるぞ、ラッキー! みたいな(笑)。もちろんそのぶん大変さもあるのですが、自分がどう踏ん張るかで空気も変わると思うので、いつも踏ん張りたいなと思っています」

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 映画では近未来のルックを実現するべく丹下健三が設計した香川県庁舎などが使用されている。ロケ撮影も小豆島や淡路島中心に行われている。芳根にとって小豆島とは初主演ドラマ「表参道高校合唱部!」の撮影でも訪れた思い出の地。「あのときのクランクインが小豆島だったなと思って、あの場所への行き方は……わかるわかる! みたいな(笑)。今回は映画の主演ということで、大きな作品のときに訪れる場所なんだなと思いました。当時は撮影で地方に行くということにドキドキしたし、泊まりというだけで緊張していたのですが、今では強くなったなと思います。現場での過ごし方や体力温存の方法とか、経験で学べる知識が身についたなと思います。

 そして、淡路島も「べっぴんさん」の撮影で足を運んだこともある芳根。「淡路島も朝ドラのときと同じホテルに泊まって『ここか!』と驚いて。みなさんとここで食事をしたなぁ……と思い出したりして、まさかここで背筋がピントするとは思わなかったというか(笑)。やっぱり気は引き締まりました」

人生最初にして最大の決断

 劇中、リナは不老化の施術を受けて永遠の命を得る最初の女性になる決断をはじめ、いくつもの選択を迫られることになる。芳根にとって一番の決断は「高校1年生のときに、この仕事を始めると決めたときです」と語る。「それまで習い事なども自分でやりたいと言ったことがなくて。習っていたピアノも叔母がピアニストで母もやっていて、自分がやるのは当たり前という感じでした。ほかの習い事も母や祖母の勧めが多かったので、初めての決断が役者の仕事をすること。今も何年も続いていて自分の人生になっているは驚きです」

Arc アーク
(C) 2021映画『Arc』製作委員会

 そのきっかけとなったのは、高校生活最初の文化祭の思い出だという。「文化祭で5人くらいの女の子同士で映画を作ることになって。ファミレスに集まったはいいものの、高1の女子なので話が脱線していって、気づいたら友だち二人で脚本を書いていて(笑)。今でも親友のその子と一緒に作業して楽しいなと思っているうちに、どんどん脚本に愛情が芽生えて、そこから二人でカメラを持っている人を探して撮影して、するとさらに愛着が湧いてきて、編集までやることになりました。意外にも学校内で評価されて、すごく楽しい経験だったんです」と笑顔で振り返る。

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 「それまでテレビもあまり観ていなくて、映画やドラマの作り方も知らないような状態だったのですが、そこで作品を作ることの楽しさに気づいて、初めての感情が湧いたんです。スカウトされたのがその直後で、本物の映画やドラマはどう作るんだろうという興味本位もあって、未来をしっかりと見据えて、というものではなかったんです。一回見てみたいなという好奇心で。でも、入ったら何をすればいいのかわからず、周りの方々にいろいろ教えてもらいながら、気づいたら今という感じです」

Arc アーク

 そんな芳根にとって母親の存在は大きなものだという。「母はすごくポジティブで、自分が少しでもネガティブな方向に行っていると思ったときには、方向をギュン! と変えてくれるんです。現場で少しでも落ちそうなときには電話します。家に帰って話せばいいのに仕事中も話すくらい仲良しです(笑)」。コロナ禍の現在は自宅で過ごすことも増え、今も心強い存在であり続けているようだ。(編集部・大内啓輔)

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