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山田涼介『燃えよ剣』で初の敗北感 「この人には勝てない」

映画『燃えよ剣』より山田涼介演じる沖田総司
映画『燃えよ剣』より山田涼介演じる沖田総司 - (C) 2020「燃えよ剣」製作委員会

 間もなく公開される映画『燃えよ剣』(10月15日公開)で、新選組の中でも“愛されキャラ”として人気の高い一番隊組長・沖田総司を演じた Hey! Say! JUMP山田涼介。土方歳三役を務めた主演の岡田准一原田眞人監督という『関ヶ原』(2017)コンビの揃い踏みに「現場では常に緊張していた」という山田が、役づくりへの熱い思いと共に、初めて味わった俳優としての敗北感を語った。

岡田准一&山田涼介が初共演!『燃えよ剣』場面カット【写真】

 原田監督が『関ヶ原』に続き司馬遼太郎(遼のしんにょうは点2つ)の同名ベストセラー小説を映画化した本作は、幕府の権力復活を目指す佐幕派と、天皇を中心に新政権を目指す討幕派の対立が深まる幕末期を駆け抜けた、新選組の志士たちの奮闘を描いた歴史スペクタクル。主人公の新選組副長・土方歳三役の岡田、一番隊組長・沖田総司役の山田をはじめ、新選組局長・近藤勇に鈴木亮平、初代筆頭局長・芹沢鴨に伊藤英明、そして土方が思いを寄せる女性・お雪に柴咲コウと、主役級のオールスターキャストが集結した。

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死ぬ気で沖田総司を演じ切った

 試衛館(剣術の道場)の内弟子時代から、土方や近藤を兄のように慕う明るく聡明な天才剣士・沖田。この役を演じるにあたって山田は、「土方さんや近藤さんにはっきりものを言えるのは沖田だけ。癒やし系キャラじゃないですが、殺伐とした空気をガラッと変えられる新選組の末っ子的存在として、みんなの心の置きどころになれば」という気持ちで役づくりに挑んだという。

 また、沖田の人柄について山田はこう分析する。「剣の腕前が一流で、頭が良く理解力もある。優しくて子供好き、性格もすべてにおいて素直ですよね。やりたくないことは『やりたくない』と意思表示するし、仲間のために感情を剥き出するところもある。新選組の中で、たぶん、一番人間っぽい人だったと思うんです」

 その反面、何のためらいもなく暗殺を決行するような冷徹さもあり、不治の病に苦しみながら生きている一面もある。「どこか危うく、つかみどころのないミステリアスなところもまた、沖田が人を惹きつける魅力の一つ」と語る山田の目には、撮影を終えた今も沖田が宿っているようだ。

 厳しい演出で知られる原田監督からは、「とにかく自由にやってみて」と沖田を委ねられたことが意外だったという山田。「確かに現場では厳しい監督ですが、僕の中から生まれてくるものもすごく大切にしてくださるので、沖田を任されたプレッシャーを感じながらも、逆に期待されていることがとても力になった」と笑顔を見せる。「演技の面では、少年のような親しみやすい笑顔から一転、まるで感情のないロボットのように人を冷酷に斬っていく……。そのギャップのところは特に意識しました。沖田を描いた歴代の作品もかなり研究しましたが、一貫してある沖田の基本的なイメージを考えると、自分が童顔だったこともプラスに生かせたかなと思います」

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 あまり人前で「頑張ったアピールはしたくないけれど……」と前置きしながらも、「今回は死ぬ気でやり切りました」と明言する山田。「特に、結核で死に向かう姿を表現するために過酷なダイエット(撮影中に8キロ減量)に挑み、『本当にヤバイかもしれない』というくらい自分を追い込んでしまって……。こんな極限状態になるまで役にのめり込んだのは、この作品が初めてかもしれません」と、かみ締めるように撮影当時に思いをめぐらせた。

岡田准一は困ったときに皆が駆け込む場所

 原田組への初参加、さらに時代劇も初挑戦ということで、「緊張感が途切れることなく、日々刺激的な毎日だった」という山田。特に岡田と対峙した時は、そのオーラに「歴然とした差」を感じたという。「正直、僕は人に対抗心を燃やしたり気後れしたりすることはないのですが、岡田さんとご一緒させていただいて、さすがに『無理』って思いましたね。俳優としての立居振る舞いや、作品に対する姿勢、考え方の差がありすぎて、これは何をやっても勝てないと。こんな感情を抱いたのは、岡田さんが初めてです」。常にフラットな気持ちで人と接する山田にとって、この敗北感はまさに初体験……。

 その、山田が感じた「歴然とした差」とは何なのか。「例えば、『カメラはここにあるから、襖と襖の間から入る光を顔のここに当てるとすごくよく映るよ』とか、そういう細かい技術的なアドバイスもたくさんありましたし、今回、俳優として自分が何番手かを頭に入れて行動するとか、現場の居方を考えるとか、それこそロケバスに乗る順番まで教えてくださったんです。ジャニーズは基本、『先輩の背中を見て覚えろ』というスタイルなので、ここまで丁寧に教えてもらうことは、まずないんですよね。岡田さんと共演すると、みなさん岡田さんを絶賛されますが、その意味がよくわかりました。映画、特に時代劇を知り尽くした岡田さんは、困った時にみんなが駆け込んでいく場所なんです」

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 そうした岡田のすごさを知った山田は、勇気を振り絞り、プライベート・レッスンを直訴。「連絡先も知らないし、僕にとっては雲の上の人なので、かなり勇気がいりましたが、作品の中でも師弟関係ですし、時代劇の動きや殺陣を教わるなら、岡田さんしかいないと思ったので、無理を承知でお願いしました」と声を弾ませる。情熱を持って教えを求める後輩には、その何倍もの愛情を込めて指導するという岡田。山田の申し入れを受けた彼は、教え方も深く、濃く、そして独特だった。

「まず、『レスリングしよう』といきなり言われて驚きました。それには理由があって、『沖田の良さは力強さじゃない、スピード感が大事になってくる』とおっしゃって。そのスピード感を身につけるために、レスリングが一番だと。あとは、刀の構え方の鍛錬にもなると。腰が座っていない構え方をする人が多いけれど、本物の刀は重いから、グッと腰を落とすのが基本。だから、そこをレスリングで鍛えようというわけです。リアルな刀の重さを体験するとわかるのですが、すべてが腑に落ちるというか、理にかなっているんですよね」

 こうして始まった岡田の熱血指導は、時に厳しく、時に優しく、山田を奮い立たせた。「素振りも数えきれないくらいやりましたし、毎日、刀に触れることを意識して、左手は常に柄(つか/握る部分)を持ちながら少しずつ気持ちをつくっていくこともやりました。レッスンは大変でしたが、こうして指導してくれる先輩がいるって、今から思うとすごく幸せなことですよね」

 岡田によって鍛え上げられた山田の成長が、沖田総司となっていよいよスクリーンで躍動する。(取材・文:坂田正樹)

映画『燃えよ剣』は10月15日より全国公開

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