「鎌倉殿の13人」北条義時を主人公にした理由は？
小栗旬主演の2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」（1月9日スタート、NHK総合ほか）の制作統括を務める清水拓哉チーフ・プロデューサーが、主人公が北条義時になった経緯や、ドラマの見どころなどを語った。
三谷幸喜が「新選組！」（2004）、「真田丸」（2016）に続いて大河の脚本を手がける本作では、鎌倉時代を舞台に、源頼朝（大泉洋）にすべてを学び武士の世を盤石にした二代執権・北条義時（小栗）が、いかにして武士の頂点に上り詰めたのかが描かれる。タイトルの「鎌倉殿」は、鎌倉幕府将軍を指す。
清水は舞台を鎌倉時代とした理由について、「『真田丸』が終わった後、三谷さんと会おうとなって、（2022年の大河で）何をやるかとなった時に、僕は源平合戦がいいなと思っていた。三谷さんは北条家にご興味があって、源平合戦だけでなく、義時の目線で鎌倉時代が作られていくのを描きたいとおっしゃった」と振り返る。
清水は「三谷さんにとっては3作目の大河ドラマになるのですが、『新選組！』の新選組、『真田丸』の真田幸村と、これまでの2作では敗者の物語、美学を描いた。その三谷さんが今度は歴史の勝者を描きたいと。三谷さんが描く歴史の勝者はどんなものかと僕も興味があった」と三谷の構想に期待を膨らませたという。「三谷さんは勝者で満足した人生を送ったというものは興味がないと。勝者だけどそのプロセスの中でものすごく傷つき、周囲にいる多くの人も傷つけた、それを描きたいと。そう聞いて、新しいものができるという期待感が湧いた」と続ける。
物語を描く中で、頼朝と義時の関係も重要になる。清水は「頼朝と義時は不思議な形のバディ。義理の兄弟でもある。義時が頼朝という天才政治家に強い影響を受けたであろう、その過程も描きたい」と三谷が話していたエピソードも紹介。「義時は決してすごい家に生まれたわけではない。頼朝の登場とともに急に歴史の表舞台に引っ張り出された。その過程はすごくドラマチックなものだったろう」と清水も三谷同様想像を膨らませた。
義時の特徴について「振り回されるタイプ」と分析する清水。「義時は三谷さんも好きな、周囲に振り回されるタイプの人でもあるんです。でもそれに応えようと全力で取り組み、いろんな苦労をしながら、試練を乗り越えていくさまも、最初は泥臭いけど頼朝の影響を受けて、だんだん上手になっていく。時に冷酷でもあるけど見事にやってのけるようになる」と述べ、「健気な人間が変貌していくところに義時の凄みを感じるし、今までの大河ドラマにないダークヒーローになる側面もある」と期待を寄せる。
清水は「今回の大河ドラマは彼（義時）自身のスケールの大きさ、人間の大きさがベースにある。泥水に顔を突っ込みながらやっていくところから始まって、義時がどう変貌していくかが見どころです」と話していた。（取材・文：名鹿祥史）
