アカデミー賞でNetflix10作品・27ノミネート

　日本時間2月8日に発表された第94回アカデミー賞ノミネートで、Netflix作品が10作品・27のノミネートを獲得。最多ノミネートの『パワー・オブ・ザ・ドッグ』など作品賞候補となった2作品をはじめ、対象作品を振り返ってみた。

【写真】助演男優賞候補になった新星『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

　作品賞では、ベネディクト・カンバーバッチ主演＆ジェーン・カンピオン監督の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』と、レオナルド・ディカプリオ、ジェニファー・ローレンス、メリル・ストリープらスター俳優が集結した『ドント・ルック・アップ』の2作品。

　『パワー・オブ・ザ・ドッグ』はカンバーバッチ演じる冷酷な牧場主が、弟ジョージ（ジェシー・プレモンス）の結婚相手ローズ（キルステン・ダンスト）に抱く憎悪の顛末を描く物語。カンバーバッチが主演男優賞、ダンストが助演女優賞。プレモンスと、ローズの息子を演じたコディ・スミット＝マクフィーの2人が助演男優賞候補となる快挙。実生活でもパートナーであるプレモンスとダンストが夫婦役でそろって候補入りした。またカンピオン監督が『ピアノ・レッスン』（1993）以来、2度目の監督賞候補となっている。計11部門12ノミネートの最多ノミネートとなった。

　『ドント・ルック・アップ』は彗星衝突という地球の危機を発見した、落ちこぼれ天文学者ミンディ博士（ディカプリオ）と教え子ケイト（ローレンス）が、世界中にその事実を知らしめるべく奮闘するさまをシニカルに描くもの。人命より利益重視の大統領を怪演したメリル・ストリープをはじめ、ケイト・ブランシェット、マーク・ライランス、ジョナ・ヒル、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデととにかくキャストが豪華。監督は、『マネー・ショート　華麗なる大逆転』（2015）『バイス』（2018）のアダム・マッケイ。

　俳優部門では、『tick, tick...BOOM!：チック、チック…ブーン！』のアンドリュー・ガーフィールド、『ロスト・ドーター』のオリヴィア・コールマンがそれぞれ主演賞の候補に。

　『tick, tick...』は、「レント」で知られる作曲家ジョナサン・ラーソンの自伝的ミュージカルを、「ハミルトン」『イン・ザ・ハイツ』のリン＝マヌエル・ミランダが映画化するもので、アンドリューは現実に押しつぶされそうになりながらも夢を諦めないジョナサン・ラーソンを演じ、『ハクソー・リッジ』（2016）以来2度目の主演男優賞ノミネートとなった。『ロスト・ドーター』は女優マギー・ギレンホールが監督・脚本を兼任。エレナ・フェッランテの小説を原作に、ある母娘との出会いを機によみがえった若いころの記憶に苦悩する女性を描く。『女王陛下のお気に入り』（2018）で主演女優賞を獲得したオリヴィアが主人公の女性レイダ役で同賞2度目のノミネート。レイダの若かりし日を演じたジェシー・バックリーも助演女優賞候補となった。

　国際長編映画賞（旧外国語映画賞）では、『グレート・ビューティー／追憶のローマ』（2013）が外国語映画賞を受賞したイタリアのパオロ・ソレンティーノ監督による『The Hand of God』が候補入り。1980年代のナポリを舞台に、サッカーを愛する少年が家族を襲った悲劇を経て映画監督としての未来に向かって歩み出す。長編アニメーション映画賞では、主演女優賞候補のオリヴィア・コールマンも声優に名を連ねる『ミッチェル家とマシンの反乱』。家族ドライブ旅行中にロボットの反乱に巻き込まれた変わり者の一家が人類の危機から世界を救うべく奮闘する。

　その他、ノミネートされたNetflixラインナップは下記の通り。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』
作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、美術賞、録音賞、作曲賞

『ドント・ルック・アップ』
作品賞、脚本賞、編集賞、作曲賞

『tick, tick...BOOM!：チック、チック...ブーン！』
主演男優賞、編集賞

『ロスト・ドーター』
主演女優賞、助演女優賞、脚色賞

『The Hand of God』
国際長編映画賞

『ミッチェル家とマシンの反乱』
長編アニメーション映画賞

『ことりのロビン』
短編アニメーション映画賞

『オーディブル: 鼓動を響かせて』
短編ドキュメンタリー映画賞

『私の帰る場所』
短編ドキュメンタリー映画賞

『ベナジルに捧げる 3 つの歌』
短編ドキュメンタリー映画賞