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火事で自宅消失「頭の中が真っ白」原將人・まおり監督夫妻振り返る

原將人監督
原將人監督

 映画監督の原將人と妻・原まおりが26日、都内で行われた映画『焼け跡クロニクル』の公開記念舞台あいさつに登壇し、京都にある自宅が全焼した2018年の火事の日を振り返った。

自宅の火事からの再起を記録したドキュメンタリー『焼け跡クロニクル』【写真】

 本作は『20世紀ノスタルジア』『あなたにゐてほしい』などの監督である原監督と妻のまおり氏が共同で監督を務め、自宅の火事からの再起を記録したドキュメンタリー作品。火事でやけどを負った原監督に代わり、まおり氏がスマートフォンを用いて、2018年夏に、漏電が原因とされる京都の自宅が全焼した当日から一家が再起に向けて進んでいく過程を撮影した。

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 原監督は、火事の日を振り返り「子どもたちを連れて帰ってきたら、2階がゴソゴソしていた。もともとイタチがよく出入りしていたので、イタチだろうって思っていた」と出火の瞬間を回顧。「長男もいたので3人の子どもを連れて避難して扉を閉めた時に、編集中の大事な作品が家の中にあるって気づいた。それを取りに行ったんです」と家の中に残した『双子暦記』のフィルムを取りに入り、それが原因でやけどと一酸化炭素中毒になって病院に搬送された経緯を紹介した。

 火事の現場については「映像を撮っておけばよかった」と事故当時から思っていたといい、「そしたらまおりが映像を回していた。安心しました。でも、火事のことは思い出したくないって、10か月くらい映像は観れなかったですけど」と語る。まおり氏は当時外出中だったというが、子どもの電話で火事を知り、慌てて家に駆けつけた。「頭の中は真っ白。現場を撮影したのはとっさの行動」だといい、「火事に遭ったという現実を受け止め難かった。スマホを持っていたので、それが記録に残れば現実として受け止められると思って」と火事の現場を撮影した経緯を明かした。

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原監督夫妻

 火事のあとは「火事は忘れたかった」という原監督だが、まおり氏がそれに対して「向かい合わないとダメだ」と叱咤激励。喪失感の中、監督に「もう1本作ってほしい」と背中を押したそうだ。「わたし自身ショックから映像を観れるまでに1年半もかかりました。不幸が詰まった映像だと思ったので。でも、観てみると、そこにはなんとか前に向かって進もうって頑張っている子どもたちが映っていた。これは作品にすべきだって思った。原監督は映画を撮るために生まれてきたような人。監督にも元気になってほしいって思った」と目を潤ませ映画化に至る経緯を明かした。

 その後、本作が完成し、25日に公開を迎えたが、原監督は「火事がなければオリジナルの作品が全部残っていたけど、火事がなければこの作品はできなかった。そういう意味では喪失感がこの作品によって埋まった」と笑顔を見せる。まおり氏も「火事にあった日は、この日が来るとは思わなかった。希望を失わず前を向いてやってきてよかった」と語っていた。(取材・文:名鹿祥史)

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