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三浦透子、朝ドラと『ドライブ・マイ・カー』のギャップに驚き!子役時代から変幻自在

『ドライブ・マイ・カー』より主人公・家福役の西島秀俊と、ドライバー・みさき役の三浦透子
『ドライブ・マイ・カー』より主人公・家福役の西島秀俊と、ドライバー・みさき役の三浦透子 - (C) 2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

 このところ“最注目女優”の一人として各所で話題になっている三浦透子新海誠監督のアニメーション映画『天気の子』の楽曲で女性ボーカルを務め紅白歌合戦にも出場するなど歌手としても活躍する彼女だが、ここでは女優としての魅力を振り返る。注目を浴びるきっかけの一つは、NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」に出演していること。もう一つは、米アカデミー賞に日本映画として初めて作品賞にノミネートされた映画『ドライブ・マイ・カー』に重要な役柄で出演していること。くしくも同時期に2本の話題作に出演していることでにわかに注目の的となっているが、遅かれ早かれ、いずれは三浦透子が“来る”と確信していた人も多いだろう。なぜなら、ドラマ・映画好きの中には、三浦が出演していることが映画を観るきっかけ、目当ての一つになる人もいるくらいなのだ。(田幸和歌子)

【動画】三浦透子『ドライブ・マイ・カー』語る

 「カムカムエヴリバディ」では「ひなた編」に、2代目ヒロイン ・るい(深津絵里)の親友・野田一子(市川実日子)の娘であり、3代目ヒロイン ・ひなた(川栄李奈)の幼馴染かつ親友の野田一恵役として登場した三浦。ひなたは、毎年夏休みの宿題を溜め込み、最終日に友人を巻き込みつつ、ヒーヒー言いながらギリギリで終わらせる「ダメヒロイン」タイプ。そんなひなたの口が悪すぎるときには即座に注意し、おかしなときには冷静にツッコみ、興味のない映画は躊躇なく断る群れないタイプの、実に気持ちの良い相棒だ。

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 しかし、そんな頼もしき友人・一恵役で三浦透子を知った人が、予備知識なく『ドライブ・マイ・カー』を観ても、同一人物だと気づかないかもしれない。同作は、村上春樹の同名短編小説を原作に、濱口竜介が監督・脚本を、西島秀俊が主演を務める作品だ。

 舞台俳優で演出家の主人公・家福悠介(西島)は、妻・音(霧島れいか)と幸せな日々を送っていたが、音はある日秘密を抱えたまま急死する。それから2年後、家福が広島で行われる演劇祭に参加するため、愛車で向かう中、演劇祭の運営から専属ドライバーとして紹介されたのが、三浦がふんする渡利みさきである。

 「カムカム~」の聖子ちゃんカット&着物姿の一恵とは雰囲気が大きく異なり、こちらは地味なメンズのようなシャツとキャップにくわえタバコ。また、「カムカム」ではひなた達とテンポの良い掛け合いを見せ、鋭いツッコミを繰り出すが、こちらはほぼ無表情、無愛想で、寡黙だ。にもかかわず、大きな喪失感を抱える家福が、みさきとの車中の会話を少しずつ重ねていくことで、目を逸らしてきた過去や後悔と向き合い、再生していく。その再生への道筋に必須だった要素には、淡々としたみさきの有能さや安心感、自身も喪失感を抱えるみさきとの共鳴があっただろう。

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 それを象徴するのが、家福がみさきの運転について語った、加速も減速もスムーズで、車に乗っていることを忘れるほど心地良いといった表現だ。運転手という位置関係もあるが、みさきはあまり目を合わせないし、黒目を動かさない。また、頭をほとんど揺らさず淡々と歩き、話す。その静かで揺れを感じさせない佇まいは、みさきの運転技術そのものでもあり、また、映画全体に漂う奇妙な安らぎにもなっている。

 2人の心の距離の変化は、家福の座り位置にも現れている。最初は助手席の後ろからやや警戒心を持って見ていたのが、後に運転席の後ろに座り、委ねるかたちに。さらに後には助手席で並び、同じ方向を見るようになっていく。その自然な変化は、みさきの微かな表情の変化にも現れ、無愛想な印象は徐々に素直さと感性の鋭さ、愛らしさに変わっていく。象徴的なのは、食事に招かれた家で、気まずそうな落ち着きのない様子を見せながら、目は犬を追っているところなど。人間味が見えてくる瞬間だ。

 だが、一恵とみさきの印象の違いに驚いた人は、改めて過去の出演作を観てほしい。例えば、土屋太鳳北村匠海松岡茉優らスターを多数生み出した、長谷川博己主演の学園ドラマ「鈴木先生」(2011年・テレビ東京)。明るく元気で食いしん坊のバレー部女子で、給食から酢豚がなくなることに涙する「カバ」こと樺山あきらを愛嬌たっぷりに演じていたのが、三浦だった。SNSでは「あのカバがいつのまにか素敵な女性に」と感慨深く受け止めている声も多数ある。

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 また、バカリズム脚本・主演のドラマ「架空OL日記」(2017・日本テレビ系)で、イケメンを紹介すると言って禿げあがった男性の写真を見せた天然風味の後輩「かおりん」。かと思えば、映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』(2018)では、柄本佑ふんする主人公の天才編集者の愛人を生々しく演じた。当時まだ20歳そこそこだった彼女が、80年代アイドルのような可憐さで登場するが、そこからの転落ぶりが凄まじい。不倫関係に陥った後、精神を病んで暴走し、自殺を図った後も追いかけてくるエネルギーは、危ない輝きがあった。

 また、2017年の主演映画『月子』(※井之脇海とダブル主演)では、知的障がいのある女性を演じたが、作中の大部分を占めるリアルなぐずりの一方で、つっけんどんで粗野な愛らしさに引き付けられる。

 不思議なのは、これまで実に多種多様な作品で観てきて、どの役もしっかり記憶しているのに、また、大きく強い眼が印象的な顔立ちなのに、それぞれ一致するまで時間がかかること。完全に作品に馴染んでしまうためだろうか。いや、作品の世界観に馴染み、佇み、ときには世界観そのものを作り出し、支配するのが三浦透子なのかもしれない。1日には三谷幸喜脚本、小栗旬主演の「鎌倉殿の13人」で大河初出演を務めることが発表。源義経(菅田将暉)の正妻・里を演じる。

『ドライブ・マイ・カー』三浦透子インタビュー「運転に人柄が集約される」 » 動画の詳細
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