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中村倫也「仮面ライダー」への憧れとやっかみ シャドームーンの自覚はこれから

「反応をいただいてから、シャドームーンとしての実感が沸いてくるのかな」シャドームーンを演じる中村倫也
「反応をいただいてから、シャドームーンとしての実感が沸いてくるのかな」シャドームーンを演じる中村倫也 - 写真:日吉永遠

 1980年代を代表する人気特撮「仮面ライダーBLACK」をリブートする「仮面ライダーBLACK SUN」で、西島秀俊とダブル主演を務める中村倫也が、自身の演じる秋月信彦/仮面ライダーSHADOWMOON(シャドームーン)について、憧れのヒーロー「仮面ライダー」に抱く思いと共に語った。

【画像】中村倫也、撮りおろしインタビューカット

 「仮面ライダーBLACK」は、暗黒結社ゴルゴムを率いる創世王の次期候補として改造された、青年・南光太郎と兄弟同然に育った親友・秋月信彦の孤独な戦いを描いたテレビシリーズ。リブート版では『孤狼の血』の白石和彌監督がメガホンを取り、仮面ライダーBLACK SUN に変身する光太郎を西島が、仮面ライダーSHADOWMOONに変身する信彦を中村が演じる。

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仮面ライダーへの憧れ

 1980年代生まれの中村にとって、「仮面ライダーBLACK」は思い出のヒーロー。「2歳~3歳くらいのころに『仮面ライダーBLACK RX』をリアルタイムで見ていたおぼろげな記憶があります。それと、レンタルビデオだったと思うのですが『仮面ライダーBLACK』も観ていました。僕は男二人兄弟で、一緒にライダーごっこをしたり、後楽園のヒーローショーに連れて行ってもらったり。そうした形で幼少期から触れていた、憧れの存在でしたね」と振り返る。

 「『仮面ライダーV3』と『ウルトラセブン』もリアルタイム世代の母親の影響で好きでした。ただ、記憶に残っている一番古い誕生日プレゼントは『RX』のバイオライダーなんです。青い液体になれる、最強って言われているライダー(笑)。隣に住んでいた幼なじみのお母さんがくれたんです。なぜかRXではなかったのですが、プレゼントにねだるくらいだから、子供の僕にとってヒーローだったんでしょうね」

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 一方、ドラマとしての「仮面ライダー」シリーズは、若手俳優の登竜門として、数多くのスターを輩出してきた。それだけに、俳優・中村倫也として、複雑な思いを抱く時期もあったという。「俳優になってからは、良い役を特撮出身の方がいっぱいやるので、その姿を爪を噛んでジトって睨んでいたようなタイプでした(笑)。自分の人生を別々に考えたとしたら、仮面ライダーって、僕の人生では子供の頃に憧れていたもの。役者としての人生では一方的にやっかみの視線を向けていたもの。どちらにしても、自分が関わるとは思っていなかったんです。だからこそ今回のような形で、しかもシャドームーンという、小さな頃に触れていたキャラクターで参加できるというのは不思議だし、嬉しくもありました」

シャドームーンを前に「中途半端はできない」

 仮面ライダーBLACKの宿敵にして、機械的なデザインと圧倒的な存在感から、ファンの間で高い人気を誇るシャドームーン。中村にとっても、相当な覚悟が必要だったようだ。「現場に向かう車中で『お前はシャドームーンをやるんだぞ』って自分に言い聞かせていました。とにかく生半可じゃだめだって。クランクイン前に、オリジナル版のシャドームーンのフィギュアを買って、部屋の目につく場所に置いたんです。僕は割とすぐにサボろうとしてしまう人間なので、『中途半端すんなよ』という自分への呼びかけというか。とにかく、できる限りのことをやりたいと思っていました」

 白石組の現場であることも、中村の気合を後押しした。「白石監督には何度かお世話になっていて、雑誌のインタビューに答えてくれたこともあるんです。そのなかで『中村倫也の主演作をいつかやりたい』とおっしゃってくださって。今回は西島さんとのダブル主演ということで、それが達成できたという意味でも、より気を引き締めようと思えました」。

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 「もちろん僕は、怪人に襲われたことも、改造手術をされたこともない。演じるにしても自分の経験したことないことだらけで、すごく気を張っていましたが、それがストレスになるのではなく、(刺激になって)エネルギッシュな感じで立ち向かえたと感じています。とても正のエネルギーが働く現場でした」

現実社会を反映した仮面ライダー

 「仮面ライダーBLACK SUN」の舞台は、人間と怪人が本格的に共存するようになってから半世紀がすぎた、2022年の日本。予告編には、怪人が差別の対象として虐げられている様子が映し出され、白石監督ならではの現実社会を反映した深いテーマ性を予感させる。

 中村も「いわゆる“仮面ライダーBLACKの世界”ではなく、現実社会と地続きという感覚。高橋(泉)さんの脚本を読んだ時に、端々から、自分たちが生きる社会に怪人という“人種”がもしいたら……という観点で世界観が考えられていて、そこで起きる摩擦やすれ違いが描かれていると感じました」と振り返る。「1970年代を描く過去パートでは、学生運動を思い起こさせる描写もあったりして。自分が特撮作品をやっているんだと感じるのは、変身したり、怪人と絡んだりする瞬間だけでした」

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 もちろん、リアルな世界観でも変身ポーズは欠かせない。「最初は少し照れくさかったんですが、変身ポーズをやってみたら、現場の皆さんが、お! やっと信彦の変身だという感じになってくれたので、しめしめと(笑)。これでいいんだと安心しました。光太郎と変身するシーンもあるんですが、さすがに西島さんと二人でニヤニヤしていましたね。光太郎と信彦が一緒に変身するって、なんかすごく、素敵やん? みたいな(笑)。嬉しさ半分、恥ずかしさ半分という感じでした」

仮面ライダーの自覚

(C)石森プロ・東映 (C)「仮面ライダーBLACK SUN」PROJECT

 シャドームーンにかける熱い思いをのぞかせながらも「叩かれたりもするんじゃないですかね。ぜんぜん気にもしないですけど」と飄々と語る中村。撮影を終えた今も、“仮面ライダー”になった自覚はないという。「自分が仮面ライダーをやったという感覚は弱いんです。たぶん、配信が始まって色んな方々の目に触れて反応をいただいてから、自分がシャドームーンだって思えるのかなと」。

 「時間を経て、はじめて自分の仕事を実感することがよくあるんです。フィードバックをいただくことで、自分がやった仕事の輪郭が見えてくるというか。小さな頃に見ていた物で、たくさんのファンがいる作品という意味では、今回は(日本版声優を務めた)『アラジン』に似ています。あの時も、公開後に反応をいただいてはじめて、『あ、俺アラジンなのか……』とあらためて思えた。それと同じように、反応をいただいてから、シャドームーンとしての実感が沸いてくるのかなと」

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 そのうえで「いつか子役と共演した時なんかに、『変身ポーズやって!』なんてねだられるかなってニヤニヤしていたんですが、今回は成人向け(18+)ということで、子供見られねぇじゃねえか! と(笑)。その夢はかなわないかもしれないですが、誰かに喜んでもらえる“何か”になれればいいなと思います」と語った中村。俳優としてキャリアを積んでから挑んだライダー役に、思いも新たにしたようで「これからライダー出身俳優だって言い張っていこうかなって思ってます。『仮面ライダーBLACK』も僕も、リブートされましたって」と笑みを浮かべた。(編集部・入倉功一)

Prime Video「仮面ライダーBLACK SUN」配信日:2022年10月28日(金)0:00

メイク:Emiy(エミー)/スタイリスト:戸倉祥仁

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