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斎藤工、竹中直人本人から出演依頼 主人公に「心当たりしかない」ほど共鳴

斎藤工
斎藤工

 斎藤工が8日、テアトル新宿で行われた映画『零落』(3月17日公開)完成披露プレミア試写会に来場し、竹中直人監督と食事した際に直接オファーを受けたいきさつを振り返った。この日は共演者の趣里玉城ティナ、竹中直人監督、原作者の浅野いにおも来場した。

【画像】イベントの様子

 浅野いにおのコミック「零落」を実写化した本作は、8年間の連載が終了した漫画家の深澤薫が、自堕落で鬱屈した日々の中で人生の岐路に立つさまを追うドラマ。この日のチケットは即完だったとのことで、会場には大勢の観客が詰めかけた。

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 ステージに登壇した竹中監督は「僕の大好きな方々がズラッとステージにお並びになっているので、胸がいっぱいで、夢を見ているようで、ものすごく切ないです。本当にみんな大好きな方なので、落ち着かないまま心が震えています」と感激した様子。原作者の浅野は「そもそも原作は私小説風というか、赤裸々な内容なので。こういう場にどういう顔をして出てくればいいのか、わからない部分もあったんですが、なかなかこういう機会もないので、今日はお邪魔させていただきました」と続けた。

 主人公の深澤を演じた斎藤は、自身の役について「心当たりしかない」と感じるほどに共鳴したという。「原作に出会ったのは5,6年前だったので、ミドルエイジ・シンドローム(中年症候群)みたいなものだったのかもしれないのですが」と切り出しつつも、「最近は(スティーヴン・)スピルバーグもそうですが、表現者が自分の内側に向き合うことがあると思いますが、この作品も浅野いにお作品の中でも、最も内臓を描いてくれたというか。そしてその内臓が自分なんじゃないかと思えるような衝撃的な出来事という印象がありました」とコメント。

 さらに「現場ではその(自分の中にある)心当たりを頼りにしたという。つらいような楽しいような時間でしたが、できあがったものを見て、それは間違っていなかったなと思いました」と誇らしげに付け加えた。

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 一方の竹中監督が、斎藤にオファーを出した理由とは何なのか。「工と山田(孝之)さんと3人で一緒に(3人が監督を務めた)『ゾッキ』という映画の宣伝をしていたんですが、たまたま孝之が仕事で。工と一緒にご飯を食べに行ったことがあったんです」と切り出した竹中監督が、「その時に、次は浅野いにおさんの『零落』を撮ろうと思っているんだと言ったら、(斎藤が)『大好きです』と。(興奮気味に)『じゃ深澤やる?』と言って。それで一気に進んだという感じでした。その瞬間を何度も思い出します。斎藤工でしか深澤は考えられなかった」と夢見心地の表情を見せた。当の斎藤は、「もしその時、竹中さんが山田孝之さんと食事をして、『零落』の話をして『大好きです』と言ったら、ここには山田孝之さんが立っていたかもしれないというのはよぎりましたが」と冗談めかすと会場は大笑い。それには思わず「それはないだろう!」と返してみせる竹中監督だった。

 竹中監督自身、原作コミックを読んだ瞬間に「絶対に映画にしたい!」と感じたという。そんな竹中監督の熱い思いを受けた浅野は「もともと原作は、みんなが面白いという性格の感じではないので。描いている時もいったい誰に向けて描いているんだろうと思うことはあった」と前置きしつつ、そんな作品に竹中監督が共鳴したことについて「竹中さんと僕って、最終的なアウトプットが違うように見えるかもしれないですけど、根底の部分では近しい部分が必ずあって。多分それで共鳴したんだと思います」と分析。

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 そんな流れで、浅野が竹中のラジオ番組(TBS「竹中直人~月夜の蟹~」)にゲストとして招かれる機会があったそうで、「それがきっかけで熱烈なアプローチを受けて。プライベートでも酒を飲むようになったんですけど、竹中さんの詰めっぷりがスゴすぎて。とんでもない量のLINEが来た」と笑う浅野。

 さらに「最初、竹中さんが先走りすぎて。普通、漫画原作を映画化する時は出版社が入るんですよと教えたら“そうなんですね”というくらいに直接来た」と続けた浅野は、「だからできあがった映画は、僕の作品ではありますけど、竹中さんのフィルターを通した作品となっていて。もちろん作品のもともとの本質は失われてはいないんですけど。でも正直、竹中さんがいなかったら、この作品の映像化もなかった気がしているので。竹中さんの好きなようにやってくれたらいいなと思って。だから出来上がりも満足していますし、竹中さんありきの映画だなと思っております」と満足げな表情。それを聞いた竹中監督も「ご迷惑をおかけしました」と笑いながら返した。(取材・文:壬生智裕)

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