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カズオ・イシグロが語る『生きる LIVING』ビル・ナイのすごさ

映画『生きる LIVING』でのビル・ナイ
映画『生きる LIVING』でのビル・ナイ - (c) Number 9 Films Living Limited

 ノーベル賞作家のカズオ・イシグロがインタビューに応じ、映画『ラブ・アクチュアリー』や『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』などで知られるイギリス人俳優ビル・ナイのすごさについて語った。

ビル・ナイがすてきすぎ!『生きる LIVING』フォトギャラリー

 もともとビルの演技のファンだったというイシグロは、黒澤明監督の名作『生きる』のイギリスリメイク版『生きる LIVING』において、主人公にビルを想定して脚本を執筆。二人のコラボレーションは見事に花開き、共にアカデミー賞初ノミネート(主演男優賞と脚色賞)を果たすに至った。ビルは、死期を宣告されたことで死んだように生きていたこれまでを捨て、本当の意味で生き始める主人公を、抑制を効かせて蕾がほころぶように美しく演じている。

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 イシグロは「この映画は彼頼りで、全ては彼を中心として組み立てられました。わたしにとって、ビルは抑制した演技の達人なのです」と切り出す。「それはものすごく技術を必要とする演技でありながら、観客にそれと気付かせません。彼はほとんど何もしないのにもかかわらず、全ての感情を伝えられるのです」

 「わたしには、それは卓越した演技だと思えます」とビルをたたえたイシグロ。「観客に“演技を見ている”ということを気付かせずに感情的に反応させ、“すごい演技だ”とありがたがらせることもない。ほとんどバイパスのようなもので、俳優が直接、観客の心に触れることができるのです。それが、わたしがこのスタイルでとても好きな点です。そして、ビルは本当にそれが上手いのです」

 さらにイシグロは、ビル持ち前のユーモアのセンスにも言及する。「彼はユーモアもとても得意で、それをとても穏やかに表現できます。直接的なコメディーは必要のない本作であっても、彼のおかげで(陰鬱になりすぎず)どこか軽妙さがあるという感覚は伝わってきます。この題材を扱う際には、それはとても重要なことでした。だからこそ、観客は彼のキャラクターに対して奇妙な親愛の情を抱くのだと思います。ジェームズ・スチュワートやケイリー・グラントも同じ資質を持っていたと思うのですが、観客はただその俳優に憧れるだけ、そしてそのキャラクターに共感するだけでなく、彼はあなたに親愛の情を抱かせます。ビル・ナイはそんな稀な資質を持った俳優なのです。彼にはとても感謝しています」と映画の成功の立役者として、言葉を尽くしてビルを絶賛していた。(編集部・市川遥)

映画『生きる LIVING』は3月31日より全国公開

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