宮藤官九郎が山本周五郎の小説「季節のない街」ドラマ化 ディズニープラスで8月9日配信
映画監督、演出家、俳優、ミュージシャンなどマルチの才能を発揮する宮藤官九郎が企画・監督・脚本を務め、山本周五郎の同名小説をドラマ化する「季節のない街」（全10話）が、8月9日よりディズニープラス「スター」で配信されることが明らかになった。舞台となる街を、12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある街へ置き換え、現代の物語として再構築する。宮藤が映像作品の監督を務めるのは映画『TOO YOUNG TODIE! 若くして死ぬ』（2016）以来、7年ぶりとなる。キャストは未発表。
原作小説「季節のない街」は、黒澤明監督が映画化し『どですかでん』のタイトルで1970年に公開されたことでも知られる。誰もがその日の暮らしに追われる、裕福とはいえない街で弱さや狡さを隠さずに逞しく生きる、個性豊かな住人たちの悲喜を紡いだストーリーで、ドラマシリーズでは小説をベースに、12年前に起きた“ナニ”で希望を失った主人公の田中新助こと半助が、被災者たちが身を寄せる仮設住宅のある街で人生を再生していく青春群像エンターテイメントとして描かれる。
宮藤は本作に以下のようにコメントを寄せている。「黒澤明監督作品の中で『どですかでん』がいちばん好きで、その原作小説『季節のない街』に20歳で出会い、その昂ぶりのまま演劇を始めました。以来、事あるごとに原作を読み、なぜ黒澤さんはこのエピソードを削除し、あのエピソードを膨らませたのだろう、という疑問が沸き始めました。そもそも短編集なので1話完結の連続ドラマになるんじゃないか？（…と思ったら60年前に森繁久彌主演でドラマ化されてました）とか、現代に置き換えるなら、舞台は仮設住宅かな？ とか、電車バカの六ちゃんは誰がいい？ とか、伴淳三郎さんの役はあの人？ 田中邦衛さんの役はアイツしかいないとか、そんな妄想を抱きつつ30年、無理だよな、無理なんだろうな、と諦めかけていたところに、ディズニープラスさんが面白がってくれて日の目を見ました。びっくりするくらい素晴らしいキャスト、最高のスタッフ、びっくりするくらい寒暖差の激しいロケ地、怖いほど条件が揃ってしまったので、失敗は許されないというプレッシャーと闘いながら、二か月半のロケは夢のように過ぎていきました。どうしよう。今回は自信がある。紛れもなく、いちばんやりたかった作品で、これを世に出したら、自分の第二章が始まるような気がしています。世界中の人に観てほしいので拡散お願いします」
スタッフには、第一線で日本の映像界を支える顔ぶれが集結。宮藤と共に監督を務めるのは、『いとみち』などの横浜聡子、『ドライブ・マイ・カー』に監督補として参加した渡辺直樹。音楽に朝ドラ「あまちゃん」や大河ドラマ「いだてん～東京オリムピック噺～」など宮藤脚本の作品のほかドラマ「エルピス－希望、あるいは災い－」の音楽も手がけた大友良英、撮影に『ある男』『万引き家族』の近藤龍人、美術に『すばらしき世界』などの三ツ松けいこ、衣装に伊賀大介が参加している。
公開されたティザービジュアルには、壁に大きく電車が描かれた仮設住宅と、この街に住むさまざまな人々の暮らしている様子が垣間見える生活感あふれる物たちがコラージュ。中央には大きな「大漁旗」がたなびき、この街に住む人々の力強い生命力あふれる姿を象徴するビジュアルに仕上がっている。（編集部・石井百合子）
「季節のない街」はディズニー「スター」で8月9日より全10話一挙独占配信
ストーリー
“ナニ”から12 年ーーこの街には、“ナニ”で被災した人々が身を寄せる仮設住宅があった。今もまだ、18世帯ものワケあり住人が暮らしていたが、月収12万超えると「即立退き」とあって、皆ギリギリの生活を送っていた。主人公の田中新助こと半助は、街で見たもの、聞いた話を報告するだけで「最大一万円！」もらえると軽い気持ちで、この街に潜入する。だが、半助こそ ”ナニ”によって何もかも失い、ただ生きているだけの男だった。しかし、ギリギリの生活の中で、逞しく生きるワケあり住人らを観察するうち半助は次第に、この街の住人たちを好きになっていく。そんな中、仮設住宅が取り壊されるという噂が街に流れはじめるのだが……。
