『Gメン』岸優太が光る3つのシーン 瑠東監督がキーワード別にセレクト
「ナンバMG5」シリーズなどで知られる小沢としおの漫画を実写映画化した『Gメン』（公開中）。本作で映画初主演を務めた岸優太の魅力を、瑠東東一郎監督が「笑い」「恋愛」「友情」の3つのカテゴリに分けて選んだ（※一部ネタバレあり）。
本作は、“彼女出来る率120％”と噂の男子校・武華に意気揚々と転入するも、問題児ばかりが集まった最底辺クラス・G組にあてがわれた高校1年生の門松勝太（岸）の仲間たちとの友情や恋、試練を描く青春エンターテインメント。「おっさんずラブ」シリーズやドラマ「unknown」などの瑠東東一郎監督がメガホンをとった。文武両道のモテ男子・瀬名拓美（竜星涼）、プロレス好きでオタクの肝田茂樹（矢本悠馬）、G組随一の老け顔と言われる昭和風の梅田真大（森本慎太郎）、「戦争じゃー！」が口癖の武闘派・薙竜二（りんたろー。）らG組の仲間たちと絆を育むなか、八神（田中圭）と因縁のある凶悪グループ・天王会のヘッド、加藤侠介（尾上松也）が刑務所から出所してきたことから抗争に巻き込まれていく。
～以下、ネタバレを含みます～
「岸優太は勝太そのもの」と本人と役のシンクロ率の高さを強調する瑠東監督。本作では勝太が武華男子高校に転校してきた日にG組の面々と顔を合わせた瞬間から随所にコミカルな描写が見られるが、岸の思わぬ反応に笑ってしまったシーンとして、吉岡里帆演じる担任教師・瞳先生と勝太、瀬名とのシーンを挙げる。瞳先生は、一見清楚で美しく優しい教師だが、怒ったり感情が高ぶると豹変する。
「瀬名宅で、元カレ問題に悩んで酔っ払った瞳先生に勝太と瀬名が絡まれるシーン。くだをまいていた瞳先生が勝太を平手打ちした際、なぜか叩かれた岸くんが笑っていて。そこで笑うんだって（笑）。台本上でも“笑う”とは書かれていなかったんですけど。あのリアクションは岸くんにしかできないものだと思いますし、好きなシーンですね（笑）」
映画の最大の見どころは、勝太とG組メンバーをはじめとする武華の生徒たちのアツい友情模様。男気ある勝太はクラスメイトのみならず先輩たちにも一目置かれる存在となるが、田中圭演じる伝説のグループ・Gメンの最後のヘッド、八神紅一と勝太の対話には「グッとくるものがあった」と瑠東監督。
「勝太が天王会に乗り込む前に、ある事情からG組の仲間たちとケンカ別れをしたあとのシーン。体育館裏に一人でいた勝太に八神が“本当の強さとは信じて走り続けること。だけど疲れたら俺を頼れ”と励ますんですけど、そのときの岸くんは良く観ると目がウルウルしていて。それは岸くん、圭くんの関係があるからこそなんですけど、岸くんには“圭くんの目をまっすぐ見て芝居を受けさえすれば自然と心が動く”と話していたんですが、そうしたら岸くんの目がみるみる潤んできて。“圭さんを見ていたら泣けてきたんですよね”って」
ケンカに強い勝太だが、恋愛は経験がなくとことん不器用。街中で女の子がチンピラに絡まれていたら“俺の嫁になるかもしれないから”と突っ走って助っ人に入るも玉砕するなど、彼女を作るために全力で奮闘しては空回りする。そんな彼にいつしか惹かれていくのがレディース集団「多摩黒天使（ブラックエンジェル）」のヘッド・上城レイナ（恒松祐里）だ。超純情な二人のもどかしい関係も見ものだが、瑠東監督のお気に入りはエンドロールの二人の掛け合い。
「エンドロールの、勝太とレイナの恋の行方を仄めかすやりとりは、実は撮影の中断を挟む前のラストに撮影しているんです。二人は1か月もの間撮影を積み重ねてきているので関係値はできあがっているわけで。あえてセリフを用意せず“どうする？”と岸くんに話したら、ああいう感じになりました。謎のハートマークを見せるという（笑）。セリフは聞こえず、二人が何をしゃべっているのかお客さんが想像を膨らませるシーンにしたかったのですが、見事二人にしか出来ない空気が仕上がっていて。ワンテイク、一発勝負で撮りました」
笑い、恋、友情いずれにおいても岸の演技で重要視したのが「熱量の高さ」だったといい、ピュアでアツい高校1年生・門松勝太役が実年齢（27歳）を忘れさせるほどのハマり役となっている。（編集部・石井百合子）
